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「正直、だいぶホッとしました」 崖っぷちから五輪を決めた14歳、玉井陸斗が語る“飛び込みの魅力”

posted2021/07/14 17:00

 
「正直、だいぶホッとしました」 崖っぷちから五輪を決めた14歳、玉井陸斗が語る“飛び込みの魅力”<Number Web> photograph by Ai Hirano

飛び込み界で活躍する玉井陸斗は初めてのオリンピックに期待を抱く

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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Ai Hirano

 全神経を集中させ10m下のプールに向かって飛び込んでいく。入水するまでのわずか2秒間に、14歳の玉井陸斗はすべてを凝縮させる。

「正直、だいぶホッとしました」

 5月、最終予選を兼ねたW杯東京大会で、玉井は男子高飛び込みの東京五輪代表に内定した。

 一時は崖っぷちに立たされた。上位18人の準決勝に進出すれば代表に内定する予選5本目までを終え圏外の19位。後がなくなった6本目で真価を発揮し、会心の1本で大舞台を手繰り寄せる。プレッシャーをものともしない5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりえび型)で水しぶきのないノースプラッシュを見せた。

「予選最後の1本は、絶対に決めるという強い気持ちでいきました。もしこれでオリンピックが決まらなかったとしても悔いが残らないように、思い切った演技をしようって。本当に(五輪出場が)決まってよかったです」

五輪は「自分の飛び込み人生の第一歩」

 '19年4月のシニアデビューからこの2年で身長は約15cmも伸び、体重も大幅に増加した。短期間で一気に体が大きくなると筋力が追いつかず感覚が鈍ることもあるが、計画的な筋トレの成果もあり武器と自負する「宙返りの回転スピード」も強化。パワーや安定感も身につけた。

「海外の選手はみんな体が大きいので、それに負けないぐらいの演技をしないと得点が伸びない。大きく見せることは意識しています。ノースプラッシュで高得点を出したときに聞こえる歓声もうれしいけれど、体が小さくてもダイナミックな演技ができるのが、この競技の魅力の一つだと思います」

 初めて経験する五輪は「自分の飛び込み人生の第一歩」になると目を輝かせる。

「世界のトップ選手たちが集まる舞台で自分も戦えることはとても誇らしい。このオリンピックは今後の競技人生においても大切な大会になると思う。いい演技と結果で自信をつけたいです」

玉井陸斗Rikuto Tamai

2006年9月11日、兵庫県生まれ。JSS宝塚所属。6歳で飛び込みを始める。'19年日本室内選手権高飛び込みで史上最年少優勝を果たし、シニアデビュー。同年9月の日本選手権も史上最年少優勝。155cm、51kg。

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