現役時代は試合を見るときにゲーム全体を把握しつつ、自分がいかに点を取るかという点に特化していたというが、それも立場の変化とともに変わりつつある。

「ゴールを生み出すポイントはどこにあるのか、ゴール前のところばかりに注目していました。どういう動きをしたらマークがズレるのかを考えたり、前線の選手を見ながら『こういう場面ではもっとこうした方がいいな』とイメージしたり。正直なところ、監督はどういう狙いを持ってシステムを組んで……というところまでは、興味がなかったです。

　今は見るポイントが全然違いますね。とくに解説をするようになって、より全体を俯瞰してみるようになりました。また、自分がなぜ解説に呼んでもらっているかといったら、ストライカーとして長くプレーしてきたキャリアを評価していただいてのこと。ある程度、ストライカー視点で語っていいとは思いますが、しっかりと全体を把握し、理解した上で話をしていかなければいけないと思っています」

Jリーグ通算220点ものゴールを挙げてきた佐藤寿人　©Kiichi Matsumoto

ゴルフ番組を見ていた入浴時間も…

　試合映像を見る機会や時間は現役時代に比べると圧倒的に増加した。

　解説の仕事が決まると、まず、その日までにスケジュール帳に「○○○vs.◎◎◎」はかならず見ておく」と書き込んでおき、映像を確認することを欠かさない。

　現役時代は移動時に雑誌やドラマを見ていたというが、今はその時間が貴重な情報収集の場。趣味のゴルフ番組を見てリフレッシュしていた入浴時間も、今はもっぱらサッカーの試合映像を見る時間になっている。当初は“見なければいけない”という少し義務感のようなものもあったが、「今は見たい、知りたいという気持ちの方が強い」と積極的だ。

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