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グアルディオラの采配は正しかったのか? チェルシーのカンテが縦横無尽の活躍、マンC“最重要選手”は64分まで…【CL決勝分析】 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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posted2021/05/30 17:40

グアルディオラの采配は正しかったのか? チェルシーのカンテが縦横無尽の活躍、マンC“最重要選手”は64分まで…【CL決勝分析】<Number Web> photograph by Getty Images

カンテとギュンドガン。焦点となった中盤の2人だが、結果は「地球の3割をカバーしている」と評されたこともあるカンテの縦横無尽ぶりが上回った

アンダードッグと自覚し、“3戦3勝”のトゥヘル

 圧倒的な歩みでプレミアリーグを制し、チャンピオンズリーグでも無敗で決勝に勝ち上がってきたグアルディオラ監督のシティだが、これでトゥヘル監督のチェルシーには3戦3敗。この不利な対戦結果が、グアルディオラにまたしても納得しにくい先発を選ばせたのだろうか。「後半はよかった」と振り返るが、ならば、最初からチームの最重要選手のひとりを出場させるべきではなかったか。

 一方、チェルシーのトゥヘル監督はロジカルな布陣で臨んだ。最近は、ジェイムズに右CBを任せていたが、結果が伴わなかったこともあり、決勝では本来の右WBに戻している。

 そして自分たちが「アンダードッグ」であることを自覚しつつ、「フットボールでは常にギャップを埋めることができる。我々が今季の2試合ですでに見せたように。クオリティー、勇気、結束、姿勢で、それは可能になる」と言っていた通り、チームをひとつにまとめ、目的意識を徹底させ、勝負にこだわって栄光を手にした。

耐え凌いだトゥヘル、ペップとシティの今後は……

「勇敢に戦い、重圧に耐え凌んだ選手たちを誇りに思う」とトゥヘル監督は、試合後の記者会見でも「Suffer(耐え凌ぐ)」という言葉を用いた。昨季、パリを率いて決勝で敗れたドイツ人指揮官は、就任から半年ほどの新天地で最高のタイトルを手にした。「それでも、私がモチベーションを失うことはない」と言って、来季からの指揮にも意欲を示す指揮官と、フロントは契約を延長するはずだ。

 外国人ビリオネアが保有するクラブの先駆けであるチェルシーが、2度目の欧州制覇を成し遂げた。その意味で弟分のシティは、初めての決勝で涙を飲んだが、それは昨季のパリ・サンジェルマンも同じだ。長い伝統を誇る欧州フットボールで、新興勢力が極みの成功を収めるには、ステップが必要なのだろう。

「(シティでは上層部と)同じ目線に立ち、決断を共にし、ミスも共有する。負けても、悪かったところを一緒に考え、次につなげるんだ」とグアルディオラは前日の会見で言っていた。この黒星も、未来の糧にしていくはずだ。

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