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【全米プロ】松山英樹が挑む名匠ピート・ダイの最高傑作…今季メジャー2戦目、優勝候補はパパとなって戻ってきたマキロイ? 

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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posted2021/05/19 17:01

【全米プロ】松山英樹が挑む名匠ピート・ダイの最高傑作…今季メジャー2戦目、優勝候補はパパとなって戻ってきたマキロイ?<Number Web> photograph by Getty Images

2012年の全米プロを制した当時23歳のマキロイ。重圧に苦しんでいた青年を救ったのはキアワの景色だった

 折りしも、今大会では距離測定器の実戦使用がメジャー大会で初めて許可される。大会を主催するPGAオブ・アメリカはプレーペースのスピードアップを狙って距離測定器の導入を決めた様子だが、選手やキャディたちの反応は、おおむね否定的で懐疑的だ。たとえば、2012年全米オープン覇者のウエブ・シンプソンは、こう言っている。

「僕たちトッププレーヤーが求めているのはフロントエッジまでの距離やピンの奥側、逆側に残されている距離など、さまざまな数字や状況の見極めであり、距離測定器でピンまでの距離がわかったところで、スピードアップにも大したヘルプにもならない」

 そう、機械や道具で測れるものは、ほんの一部にすぎず、概してゴルフは「モノサシでは測れないし、計れない」ものなのだ。

 カギになるのはメンタル・コントロールとコース・マネジメントであり、2012年のマキロイが不調の中で圧勝したことを思えば、先週のA&Tバイロン・ネルソンで39位タイと振るわず、「何も良くなかった」と語った松山が、この全米プロで一転して好プレーを披露し、メジャー2勝目を挙げる可能性は大いにある。マスターズを制したことで膨らんだ自信が、彼の心の拠り所になり、大きな余裕ができていることは想像に難くない。

 30年前、名匠ピート・ダイのデザインに愛妻の優しさや穏やかさが付加されて「最高傑作」のキアワ・リゾート、オーシャンコースが生まれたように、一流の技術と穏やかな精神を併せ持って大会に挑んだ選手こそが、ダイ夫妻の「最高傑作」を制覇し、勝利の証であるワナメーカー・トロフィーを手に入れる。

 それは、マキロイか、スピースか、それとも松山か――これほどワクワクする全米プロは久しぶりであり、初日から最終日へと進む4日間、そのワクワク度は「経験したことがないぐらい記録的」になりそうな予感がする。

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