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25歳で「クビになる可能性」を意識した脱臼から復活… 関根大気が“DeNAの粘り役”になれたワケ【3月に入籍】 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/04/12 11:02

25歳で「クビになる可能性」を意識した脱臼から復活… 関根大気が“DeNAの粘り役”になれたワケ【3月に入籍】<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

関根大気はDeNAで生き残るため、日々努力し続けている

「一軍の選手は初球から積極的にいくタイプが多くて、粘れるような選手がいないよな」

 関根のやるべきことは定まった。

「自分でもそういう選手がチームが必要だと」

「自分としても、そういう選手がチームには必要だと思っていましたし、他の選手が持っていないものを用意できるプレイヤーになれるんじゃないかって」

 キャンプ前は恐怖心があった帰塁動作も実戦を重ねることで払拭することができた。打球もホームランとまではいかないが、オープン戦ではセンターからライト方向にかけ、内野手の頭を超える強い打球が目立つようになってきた。関根は結果を出すと、冒頭で述べたとおり開幕スタメンに選ばれた。選出に際し、三浦監督からは次のような言葉をもらった。

「いろんな大変なことがあったから、悔しさをぶつけてくれ」

 沸々と力がみなぎっていく。自分の果たすべき役割は理解している。ライバルの桑原将志や神里和毅は好調であり、また主力のタイラー・オースティンが今後合流し、競争はより厳しくなるが、関根には焦りはない。だって人と競い合うつもりはないからだ。

スタメン落ちした中日戦で見せた意地

 開幕以来スタメン落ちした4月6日の中日戦では9回に代打で登場すると、ライト前へツーベースを放ち出塁し、持ち前の脚を活かしてダメ押し点を演出した。見事な集中力と自らの特性を発揮したプレーだった。

 迷いのない真っすぐな眼で関根は言う。

「とにかく勝利に向かい、チームの必要なピースになれるよう、自分のやるべきことをその瞬間、その瞬間、選択していけたら。それが一番だと思いますね」

 関根と初めてゆっくり言葉を交わしたのは入団2年目の春季キャンプのときだ。まだ19歳だった。あのときから眼の輝きも誠実さも変わることはないが、紆余曲折を経たことでにじみ出る佇まいにはどこか憂いがあり、深みが感じられる。

 また先月には入籍を発表し、守るべきものが増えた。「より頑張らなきゃいけないなって、強く思っています」と関根は言った。あどけない表情と笑顔が魅力的だった10代の青年は、いつしか大人へと脱皮し、今やチームを支える欠かすことのできない礎になろうとしている――。
 

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