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【もうすぐ40歳】ロッテ鳥谷敬はどうやって“最年長”開幕スタメンに? 練習も食事も睡眠も「18年後を考えながらやってきた」 

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梶原紀章(千葉ロッテ広報)

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara

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photograph byChiba Lotte Marines

posted2021/04/05 11:02

【もうすぐ40歳】ロッテ鳥谷敬はどうやって“最年長”開幕スタメンに? 練習も食事も睡眠も「18年後を考えながらやってきた」<Number Web> photograph by Chiba Lotte Marines

その豊富な経験から、若手選手たちにも大きな影響を与えている鳥谷敬。今季はここまで5試合にスタメン出場している

 阪神タイガースを退団した昨年オフは、マリーンズ入りが決まるまで、自宅横での坂道ダッシュやガレージの壁相手にボールを投げ続けるトレーニングを1人で黙々と積んでいた。2月のキャンプからしっかりとチームの中で体を動かしてきた今季とでは、調整には雲泥の差がある。

 自身も「去年とは全然違う。沢山、試合に出させてもらったし、内野で色々なポジションを守って試合勘を作っていくことが出来た。キャンプでも自分の時間をいただき色々と試しながらやらせてもらえた。しっかりと開幕に照準を合わせて自分なりに感覚を戻すことが出来たし、シーズンに臨む上でのヒントをたくさん見つけることができた」と胸を張る。

 今季、40歳を迎えるベテランの軽快な動きを見た井口資仁監督も「状態は非常にいい。動きは一番いいと思えるぐらい」と目を細めた。

 誰よりも早く球場入りし、入念に体を温め、グラウンドに現れるのも早い。ポジションに向かうときは常に全力ダッシュ。ベンチでも若く大人しい選手の多いマリーンズにあって大きな声を出しチームを鼓舞している。不惑の年を迎える本人も、「ボクは惑わされることはないし悩むこともない」とキッパリと言ってのける頼もしさだ。

 20代の選手たちと同じように練習を行い、同じような動き、もしくはそれ以上のプレーを見せる若さの秘訣とは何だろうか。周囲も気になるところではある。ただ、今、この年齢における体の状態は本人からしてみればこれまでの積み重ねとしての結果。当たり前の“現在”と考えている。

「特別なことは、ない」

「プロに入った時から40歳になってもプレーをすることを目標にしてきた。その時から40歳になっても体が動くためにはどうすればいいかを考え、それに沿って行動をしてきた。だから、いま、なにか特別なことをしているかと言われたら、それはない」

 様々なトレーニング。食事管理。そしてナイターでもデーゲームでも日付が変わる前の23時にはベッドに入り、眠りにつく。いつでも同じリズムを維持し、体の負担を最小限にしようとする努力は、年を重ねて始めたことではなく、変わらぬルーティンとして続けてきたこと。それが積み重なり、今となっている。

「40歳を目前にした39歳になって、さあ体が重くなったからどうしようとかという人はよく見るし、見てきた。ボクは22歳ぐらいの時から18年後を考えながらやってきた。トレーニングにしても食事、調整法にしてもその中で自分に合っているものを見つける作業を繰り返し、困ったときのヒントや引き出しを増やすことを心掛けてきた。それが今は生きている部分はあると思う。だから今、特別にやっていることはなく、これまでもやってきたことを今もやっているというだけ」

 “今”ではなく、“ずっと遠い未来”を見据えて生活をするのは簡単なことではない。誰だって目先のことを考え、楽を選ぶ。その作業は孤独といってもいい。しかし、鳥谷は一貫してスタイルを変えなかった。誰よりも早く体を動かし、誰よりも長く汗を流した結果として今の充実期を迎えているのである。

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