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名将はなぜ「一度クビになった」のか、“普通の公立校”が大阪桐蔭に勝てたワケ…センバツ甲子園の悲喜こもごも 

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posted2021/03/19 06:00

名将はなぜ「一度クビになった」のか、“普通の公立校”が大阪桐蔭に勝てたワケ…センバツ甲子園の悲喜こもごも<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

センバツ甲子園に高校球児たちの声と球音が戻ってくる

藤浪&大阪桐蔭の春夏連覇の裏で、準優勝校は……

<名言2>
昨年の甲子園では、自分のスイングさえさせてもらえなかった。だからあえてマスコミの方には「ホームランは狙いません」と言ってきたんです。でも、今年は違う。
(田村龍弘/NumberWeb 2012年4月5日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/214547

◇解説◇
 第84回センバツの主役といえば、大阪桐蔭のスーパーエース藤浪晋太郎(現阪神)だった。1学年下の森友哉(現西武)との強力バッテリー、そして藤浪の2番手投手として澤田圭佑(現オリックス)が控えるなど、ここ近年の大阪桐蔭の“横綱”ぶりを象徴するような豪華絢爛なメンバーで優勝を果たし、春夏連覇へとつなげていく。

 その一方で「春夏準優勝」という結果に終わったのが、光星学院だ。現ロッテの田村に北條史也(現阪神)が主軸を打つなど実力は十分で、“大阪桐蔭さえいなければ”というほどの強豪だった。

 そんな中で学年を重ねるごとに成長していったのは田村だった。

 1年夏からチームのレギュラーになった田村は2年時の春・夏の甲子園で4番打者を任される実力の持ち主だった。しかし田村は「ホームランを打ちたいと思って」打席に向かったものの、最終的には「右打ちをして、ヒットを狙っていた」と振り返る。その悔しさがあったからこそ「冬場にしっかり練習してきたし、十分な経験もあるんで、今日(大阪桐蔭とのセンバツ決勝)も自信がある」とも話していた。

 試合は7-3で大阪桐蔭に軍配が上がった。しかし3番・田村、4番・北條は藤浪に対して2人で5安打を放つなど、意地を見せたのは確かだった。

スモールベースボールだけじゃ限界が

<名言3>
甲子園で勝つためにはスモールベースボールだけじゃ限界がある。
(斎藤智也/NumberWeb 2013年4月3日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/391269

◇解説◇
 21世紀に入って以降、福島県の高校野球で絶対的な存在となっているのが聖光学院だ。夏の甲子園では戦後最長となる13年連続出場を決めるなど、県内では圧倒的強者だ。

 ただその一方で、全国の舞台となるとその立場は変化する――というのが聖光学院が長年抱えるジレンマだった。

 毎年のように甲子園に出場するものの、横浜や興南などの強豪校相手に打撃力で力負けする――聖光学院と斎藤監督が繰り返し味わってきた痛みだった。その現実を認め、手堅く1点を取るスタイルにメスを入れる必要性を感じていたという。

【次ページ】 甲子園を制した名将も「クビ」を経験していた

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