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世界中が悩む点取り屋問題…“クローゼ後”のドイツが取り組むFW育成プロジェクトとは

posted2021/03/18 17:00

 
世界中が悩む点取り屋問題…“クローゼ後”のドイツが取り組むFW育成プロジェクトとは<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

圧倒的な決定力を誇るレバンドフスキ。彼が語った「点取り屋とエゴイスティックさ」の考察は興味深い

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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Takuya Sugiyama/JMPA

 ストライカーがいない。

 ドイツは特に2014年のブラジルW杯を区切りにミロスラフ・クローゼが引退して以降、この問題と直面してきている。もちろん、W杯歴代最多得点記録を持つ偉大なエースの穴を埋めるのは簡単ではないが、「同じようなレベルの選手が出てこないのは問題だ!」と気を揉むのはわかる。

 そんななか、ドイツサッカー協会が興味深い、新たな取り組みをスタートさせている。得点力のあるストライカーを、どのように育てるのか――。

ドイツU-21代表コーチが話してくれた取り組み

 シュテファン・クンツ監督と協力して1年半ほど前から本格的に『FWプロジェクト』に取り組んでいるというドイツU-21代表コーチ、アントニオ・デサルボがインタビューに応じてくれた。

「U-21では以前からポジションごとのトレーニングを大事にしてきた。それぞれの選手の特徴を分析し、長所を伸ばし、短所を修正するうえでは、そうした個々にフォーカスを向けた取り組みが非常にポジティブに作用している」

 ストライカーに対しても、特別な取り組みを行っているという。

「FWとしての資質に恵まれた選手を集め、ポジションに特化したトレーニングをしている。ピッチ上のどこで、どのようにゴールが生まれやすいのかを選手たちに伝え、そのことを理解した選手が実際のプレーに反映させられるようにトレーニングをする。それがいま、自分たちが向き合っている仕事だと思っている。

 例えば、ペナルティーエリア内でシュート練習を行うときは、シュートテクニックにも着手するけど、それだけではなく、ポイントへ入り込むタイミング、フリーになれる感覚、シュートチャンスに絡める立ち位置、どのような動きが決定的になるのか、そのあたりもとても重要視している」

 以前に聞いた話を思い出した。

【次ページ】 「シュートは打てばいい、と思っていないか?」

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長谷部誠
フランクフルト

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