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まるで“世界一高価な頃のベイル”… 引退説や「賞味期限切れで返品必至」の酷評を吹き飛ばす復活ぶり 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2021/03/08 17:01

まるで“世界一高価な頃のベイル”… 引退説や「賞味期限切れで返品必至」の酷評を吹き飛ばす復活ぶり<Number Web> photograph by Getty Images

レアル・マドリーで不遇をかこったベイルだが、古巣トッテナムでかつての輝きを取り戻しつつある

ベイルのコンディショニングをどうするか

 となれば、ファンならずとも再びプレミアでのベイルをもっと見たいと思ってしまう。だが、トッテナムとしては起用できる試合数よりも期間の長さが重要だ。続く3月4日のフルアム戦(1-0)は、守備的なチームを相手に67分出場にとどまった。

 トッテナムは現在、27試合を消化して6位につける。トップ4争いは、首位を独走するシティを除き、2位マンチェスター・ユナイテッド、レスター、チェルシー、エバートン、ウェストハム、リバプールにトッテナムを加えた7チームのうち、どのチームが最終的に3枠を占めても不思議ではない混戦状態にある。

 となると、ベイルにシーズン末まで戦力としてのコンディションを維持させるべく、モウリーニョの管理手腕が注目される。

 個人的にはリーグ戦以外の残り試合に照準を合わせるのも有効だと思っている。ELでのトッテナムは、ユナイテッドと並ぶ優勝の最右翼。ユナイテッドはミランとの16強対決が待ち受けているが、トッテナムが3月11日に第1レグを戦うのはディナモ・ザグレブだ。4月25日には、すでに決勝進出を決めているリーグカップもある。

 カップ戦ファイナルの対戦相手はシティ。リーグ対決での完敗が騒がれて間もないが、昨年11月の今季初対戦では、「モウリーニョ流の極意」とも評された完封勝利(2-0)を収めている。当時のシティに翌月後半から連勝街道に乗って加速した勢いはなかったが、トッテナムも攻撃はケインとソンにおんぶに抱っこ。ベイルはベンチだった。

EL制覇の“副賞”でCL出場権を獲得できれば

 一発勝負のビッグゲームに強いモウリーニョが指揮するトッテナムは、2008年のリーグカップ優勝以来となる戴冠の可能性がある。チームとしての無冠が続く現在のメンバーが優勝の味を覚え、5月26日のEL決勝でも1984年のUEFAカップ(現EL)優勝以来となる欧州タイトルと、“副賞”として来季CL出場権を獲得できれば、仮にプレミアがトップ6圏外で終わっても、モウリーニョ体制下で初のフルシーズンは大成功と言える。

 今季トッテナムの成否を分けるのは、リーグ順位ではなく優勝トロフィーの有無である。その鍵を握る存在となり得るベイルが、ようやく「賞味期限切れ」と「ヴィンテージ」の違いを示し始めた。

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