陽樹さん「全く想定外の話で、とても驚いた。ロンドン五輪が終わったら、てっきり日本へ帰ってくると思っていたので……。とりあえず、『少し時間をください』と言いました。

　こちらがプロポーズしたのに、逆に答えを保留するはめになった（笑）。でも、色々考えると、ブラジルは2014年にサッカーワールドカップ、2016年にリオ五輪が開催される。そう思うと、ワクワクもしました（笑）。

（2013年から）ブラジルへ行くとしたら、少なくとも3年は滞在することになる。それだけのブランクがあれば自分の教員としてのキャリアがどうなるのかを調べた。最悪の場合、また採用試験を受け直す必要があるかもしれない。『それでもやはりこの人と結婚したい』と思い、必要なら一緒にブラジルへ行くと決めた。

　また会って、改めて『結婚しよう。自分もブラジルへ行ってあなたを支えるから』と言いました」

この人は多分、逃げないだろうと（笑）。

――これを聞いて、裕子さんは？

「この人は、多分、逃げないだろうと思っていた（笑）。『わかった。ありがとう』と伝えました」

――なるほど。ただ、それから裕子さんはロンドンへ戻ったわけですね。陽樹さんは、ご自分の両親にどう伝えたのですか？

「両親には反対されないと思っていました。それまで、いつも私の好きなようにさせてくれていたので。沼田へ帰省する前に『報告がある』と伝え、『1.結婚する、2.ブラジルへ行く、3.仕事を辞める、の3つのどれでしょう』というお題を出した。両親は、3を予想していたらしいです。『全部だよ』と伝えたら、2人とも固まってしまった（笑）。でも、予想通り、反対はされなかった」

ロンドン五輪で英国柔道にもたらしたメダル

――裕子さんは、英国でコーチとして奮闘。2012年ロンドン五輪で英国女子代表は78kg級で銀メダルを、78kg超級で銅メダルを獲得します。英国が五輪の柔道でメダルを獲得するのは12年ぶりという快挙でした。

「地元開催の大会で素晴らしい結果が出て、選手、スタッフと抱き合って喜びました。コーチという仕事のやりがいを強く感じました」

――ロンドン五輪後、以前から打診を受けていたブラジルの男女代表の技術コーチに就任します。その経緯を詳しく教えてください。

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