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完璧な大坂なおみ…ガルシア戦快勝に思い出す“18歳の世界202位時代” ブレーク前の対決から5年で得た強さとは 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2021/02/11 17:01

完璧な大坂なおみ…ガルシア戦快勝に思い出す“18歳の世界202位時代” ブレーク前の対決から5年で得た強さとは<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

心身ともに充実。2021年の全豪で大坂なおみが見せる強さには感嘆するばかりだ

 再び時を戻すが、2015年の招待試合の2年後、同じ舞台に今度は世界の上位8人のエリートとして先に戻って来たのはガルシアだった。

 順調な成長のようにも見えたが、実はマリーの称賛がガルシアには重荷になっていたことをどれくらいの人が知っていただろう。17歳には大きすぎるプレッシャーであり、まだ何も成していないうちから注目され、話題にされることはただ苦しいだけだったという。

 あんなことをマリーがつぶやかなければ何かが変わったのか、それは知る由もない。ただ、将来が保証されたかのような才能も、ふとしたことで萎むということ、むしろ花咲くほうがどれほど稀有であるかということを、このエピソードは教えてくれる。

 大坂にも岐路はいくつもあったことだろう。ライジングスターのトロフィーを掲げた大坂が今の大坂になったことは、運命のようでもあり奇跡のようでもある。

“負ける夢”を見たのをみんなに打ち明けて

「試合に負ける夢を見たわ。私の夢は正夢になることが多いから、前だったらそうはしなかったと思うんだけど、今日はチームのみんなに打ち明けてみたの。そうしたら、少し気が楽になった」

 些細なことだが、そんなふうに問題を1つひとつ解決してきた大坂は、一度は頂点を極めたにもかかわらず、今になってまた見るたびに強くなっていく。

 次、3回戦で当たるオンス・ジャバーもまた、大坂やガルシアと並んで招待試合に出場した1人だ。大坂は当時167位だったこのジャバーにもラウンドロビンで敗れている。そして、これが公式戦では初めての対戦となる。大坂とは違って緩やかな上昇カーブをたどってきた26歳は、今が自己最高の30位。そんな26歳との初対決の行方もまた興味深い。

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大坂なおみ

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