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「涙が出そうになりました」コロナ感染から復帰、Vリーグ・東レに地元小学校から届いた“優しさ”とは 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2021/02/12 17:01

「涙が出そうになりました」コロナ感染から復帰、Vリーグ・東レに地元小学校から届いた“優しさ”とは<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

東レ小林GMの胸についた「シトラスリボン」は地元小学校からの贈り物。感染者が出る難しい時期を乗り越えて、戦いの舞台に戻ってきた

 東レも、12月に選手全員が約2週間の隔離生活を送った。当初は、感染が確認されていない選手に対してオンラインでのトレーニングを行おうとしたが、断念した。

 東レでは1人目の感染が確認された翌日の9日に選手全員のPCR検査を行い、全員が陰性だった。ところがその翌日以降、体調不良を訴え、検査で陽性と判定される選手が日を分けて5人現れた。検査でその時は陰性でも、安心はできないということ。東レの篠田歩監督はこう振り返る。

「改めて感染力の強さを感じましたし、コロナの恐ろしいところは、(一斉に感染者が出るのではなく)時間差でどんどん出てくるところ。だから誰が感染しているかわからない状況になった。その中でトレーニングをやって、体調がおかしくなってしまったり、命に関わるかもしれないということを考えたら……。やっぱり体をしっかり休ませて、そういう状況にならないようにすることのほうが大事だと判断しました」

 東レの小林敦ゼネラルマネージャーは、「経験しないとわからなかったことがたくさんある。経験したからこそ、正しく恐れることができるようになりました」と言う。

マスクをして試合「自分が常に当事者と考えて」

 東レも活動再開後は、選手たちが練習中もマスクを着用するようになった。互いの感染リスクを減らすことはもちろん、各保健所によって判断は異なるが、互いにマスクをしていれば、一緒に練習をしても濃厚接触者と判断されない可能性もあるという。

 ミドルブロッカーの富松崇彰は、試合中もマスクを着けてプレーしている。

「今は緊急事態宣言が(地域によっては)出されている状況で、実際にコロナがチーム内で出たということもありますし、自分が常に当事者だというふうに考えると、可能性として、こういう選択肢も、自分自身あるし、周りにも見せられるかなと思ったのが1つの理由です。

 それに今は練習中ずっとマスクをつけているので、マスクを外すと違和感がある。(マスクをつけていても)ちょっと苦しいかなというぐらいで、やりにくさはないです。一種のトレーニングで、試合中も鍛えられてるなと思えば、全然関係ないですね」

【次ページ】 胸につけていた「シトラスリボン」

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