熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
無観客では「多額の経済的損失が…」と警鐘を鳴らす記者も ブラジルは東京五輪開催の可否をどう報じた?
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byShinya Mano/JMPA
posted2021/01/28 11:01
リオ五輪ではネイマールらを擁した男子サッカーで金メダルを獲得したブラジル
逆に言えば、「東日本大震災から復興した日本を世界に見せる」と宣言して五輪を誘致したにもかかわらず大会を中止するようなら、「日本は新型コロナウイルスに屈した」という印象を与えかねない。
「無観客ならば、開催可能なのでは」
ブラジルなど世界の多くの国では、昨年後半から一部のスポーツが再開されているとはいえ、依然として無観客で行なわれていることが多い。それは、もし観客を入れたら感染が急拡大する可能性が極めて高いからだ。
ラグーナ記者が「無観客であれば、開催は可能ではないか」と語るのも、そのような現実を踏まえている。
一方、日本では昨年7月からプロ野球とJリーグで、10月からBリーグで有観客試合を実施しているが、しかるべき対策を取っており、大きな問題は起きていない。
日本の各メディアによる世論調査では、反対が多数になっていると聞く。また選手の感染防止対策の徹底ができるのか、医療従事者やボランティアの準備など、問題が山積しているのは確かだろう。
ただブラジルの識者や競技に携わる人に話を聞いた身としては――できれば有観客で、最悪の場合は無観客であっても、可能な限りの対策を講じて五輪を開催し、見事に成功させてもらいたい。それによって「日本は、そして人類は新型コロナウイルスなどに屈しない」という気概を示し、苦しい状況にある世界中の人々を勇気づけてほしいと考えている。