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【春高バレー】お菓子の食べ過ぎで体重100kg超? 東福岡エースの覚醒を信じ続けた仲間たちの“粘り” 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2021/01/12 17:02

【春高バレー】お菓子の食べ過ぎで体重100kg超? 東福岡エースの覚醒を信じ続けた仲間たちの“粘り”<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

春高バレーで優勝した東福岡高校のエース柳北悠李(3年)

 内心では何度も「ふざけんな」と思った。それでも、同級生の自分たちが見捨てるわけにはいかない。もうお菓子は食べない、と言いながらまた食べる。そんなことを何度も繰り返す柳北へ、泣きながら思いをぶつけたことも数知れない。それでも「いつか、絶対やってくれる」と信じ続けた。

ライバル東山の棄権

 そして福岡県予選を勝ち抜いて迎えた春高。頂点に立つべく、大きな関門と位置付けていた3回戦と準々決勝が行われた7日、予期せぬ事態にも見舞われた。昨年の覇者であり、東福岡にとっても最大のライバルと掲げてきた東山に発熱者が発生し、大会途中で棄権することになった。突然の出来事に藤元監督も「東山と戦いたかったので喪失感があり、切り替えが難しかった」と動揺もあった。しかし、それでも試合は続く。

 最後まで全員が万全の体調で臨めるように、と一層の注意を払う中、会場入場時の検温も当初の顔認証方式から、準決勝からは接触型に変更。決勝戦では医師の問診も行われるなど、選手の健康チェックも厳しくなった。昨年末のバスケットボールのウィンターカップでも厳しい措置が取られていたことから、藤元監督は「トレーナーの指導のもと、アップ前とアップ後、練習前と練習後に体温を測る。どれぐらいダウンに時間を割けば体温が下がるか、それぞれに落とし込んできたので、(春高でも)まず外で動いてから入場したが、その際も体温のコントロール方法がわかるよう練習してきた」と事前の対策を明かしてくれた。

コロナ対策も、柳北管理も万全

 コロナ対策だけでなく、懸念材料だった柳北の体重の徹底管理も続いた。年末年始に好きなものだけ食べることがないようにと、川波が自宅へ招き「野菜中心の食事にしてもらった」と最後まで3年生たちが見守った。

 出来る限りのことを尽くし、まさに万全の状態で臨んだ最後の春高。そこでようやく柳北が覚醒した。

【次ページ】 「諦めなかった彼らの存在がなければ」

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