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「自分の偽物感はぬぐえなかった」芸歴31年目のウエンツ瑛士が初めて明かす“海外挑戦”を決断した日 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2020/12/22 11:02

「自分の偽物感はぬぐえなかった」芸歴31年目のウエンツ瑛士が初めて明かす“海外挑戦”を決断した日<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

俳優でタレントのウエンツ瑛士さん

コメントしながら思った「俺がしろよ、挑戦!」

――そんななかで、ロンドンへ留学したいと考えるようになったのは?

ウエンツ 多分、きっかけは1つではないと思うんです。20代後半から、心のなかにモヤモヤしたものがあって……。簡単にいうと仕事を楽しめなくなっていたんだと思います。年齢を重ねて、経験を積んで、いろんなことが見えてくると、辛いな、大変だなと思うことが少なくなっていくんですよね。なんとなくでも仕事ができるようになっていくのが楽しくなくて。

 たまに会うだけの母親からも「レギュラー番組とか責任があるのもわかるけど、辞めてもいいんだよ。人生を楽しまなくちゃ」と言われたりして。別に相談したわけでもないのに。外からはそんなふうに見えるんだと驚きました。

――それで「留学」を決断されて。その決断を後押ししたきっかけも何かあったんですか?

ウエンツ 情報番組の『スッキリ!!』(現在は『スッキリ』)でコメンテーターをやらせてもらっていたんですが、よく「最近若い人が海外へ行かない」とか、「挑戦しづらい社会だ」みたいな話題になることがあったんです。当然、僕も何か自分の意見とかを言わなきゃいけないんですが、ある時にふと「あ、俺、何も言えないな」って思ったんです。

――何も言えない?

ウエンツ だって、そもそも経験がないから(笑)。バラエティ番組の仕事は特殊で、休まないことが正義みたいなところがあると思うんです。役者の方なら、ドラマの撮影がお休みの期間もあるけど、バラエティにはそれがない。だから、ほとんどスタジオとたまのロケとだけの生活になってしまう。そういう生活をしている自分が、ああでもないこうでもないって、何かにコメントするのはどうなんだろうという疑問が湧いてきて。

 同時に「挑戦したほうがいい」という言葉が、自分自身にグサッと刺さったんです。「そうか、俺がしろよ、挑戦!」って。

「これだけ自分に向き合える時間は人生で初めてでした」

――それでロンドン留学。ビザを取るのも大変な国をわざわざ選ぶこと自体がチャレンジですよね? それこそ、ニューヨークとかは色んな人が行かれてますけど。

ウエンツ まず、ロンドンの街や英国のカルチャーが好きで、向こうの舞台に立ってみたいという漠然とし
た目標もありました。正直、ビザが大変だというのも、取得過程で知ったくらい何も知らなくて(笑)。 

 ニューヨークは個人的にあまり好みじゃなかったのと、日本の芸能人がすでに多くいらしてお仕事がしやすいコミュニティがあると聞いて、そういうのは自分が求めてるのとは違うのかなと。

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