球体とリズムBACK NUMBER

プレミア移籍市場・通信簿 チアゴにベイル、ハバーツ…BIG6以上に大成功したのは? 

text by

井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2020/10/21 17:00

プレミア移籍市場・通信簿 チアゴにベイル、ハバーツ…BIG6以上に大成功したのは?<Number Web> photograph by Getty Images

チアゴ・アルカンタラとハメス・ロドリゲス。プレミア初上陸の2人が両チームのメーンキャストとなるか

アーセナル、リバプールは……

 同じく首都ロンドンを本拠とするアーセナルも、満足度の高い市場を終えた。ウィリアン、セドリック・ソアレス、ガブリエウ、トーマス・パーティーらを新たに獲得し、ダニ・セバジョスとのローン契約を延長。こちらも初のフルシーズンとなるミケル・アルテタ監督の力量が試されることになる。

 王者リバプールはポゼッション時のクオリティを高めるべく、超一流の司令塔チアゴ・アルカンタラを加えた。また前線のジョーカーとしてディオゴ・ジョタ、レフトバックの控えにコスタス・ツィミカスも迎え、隙のないスクアッドが出来上がっている。

どこよりも成功したのはエバートン

 ただし今回の市場にかぎれば、チームをどこよりも充実させたのはエバートンだろう。

 御大カルロ・アンチェロッティの人望が大きなファクターとなり、ハメス・ロドリゲスとアランの元教え子が集い、アブドゥライェ・ドゥクレ、ベン・ゴドフリーらも参戦。過去数年は闇雲に選手を漁っている印象が強かったが、昨季途中に就任した分別と実績のある指揮官の意向により、ついに理にかなった補強に成功した。中盤が刷新され、一気にレベルの上がったチームは、5節を終えて4勝1分と堂々たる首位に立つ。

リーズ以下“その他のクラブ”も注目

 リーグ全体で3番目に多い総額1億ポンド超を費やしたリーズも、選手を口説き落とす際にマルセロ・ビエルサ監督の存在を語ったはずだ。ロドリゴ、ロビン・コッホ、イラン・メリエ、ディエゴ・ジョレンテ、ラフィーニャらは、クラブの野望に共感したこともあるはずだが、何よりもこの伝説的な名将の指導を受けたいと思ったに違いない。

 現在65歳のアルゼンチン人指揮官による時に加虐的な訓練と、休むことの許されない戦術に適応するには時を要すかもしれないが、そのぶん、成長にも期待できる。

 ライアン・ブルースターやイーサン・アンパドゥといった楽しみな若手を組み入れたシェフィールド・ユナイテッド、ファビオ・シウバやキ・ヤナ・フーフェルという2人の18歳の新鋭を加えたウォルバーハンプトンも興味深い。

 かたや、数少ないイングランド人のオーナーを持つバーンリーは、疫病の影響をもろに受け、今回の市場では100万ポンドしか費やせなかった。アメリカの投資会社の買収案も浮上しているが、ひとまず5シーズン目のプレミアリーグも団結力を武器に戦うほかない。

 今季のニューカマーたちもさっそくリーグを賑わせており、波乱含みの序盤戦が繰り広げられている。返す返すもファンの不在が残念でならないが、新たな顔ぶれを目にする楽しみは不変だ。

関連記事

BACK 1 2 3
リバプール
マンチェスター・シティ
マンチェスター・ユナイテッド
チェルシー
アーセナル
トッテナム
エバートン
ガレス・ベイル
チアゴ・アルカンタラ
ハメス・ロドリゲス

海外サッカーの前後の記事

ページトップ