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プレミア移籍市場・通信簿 チアゴにベイル、ハバーツ…BIG6以上に大成功したのは?
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2020/10/21 17:00
チアゴ・アルカンタラとハメス・ロドリゲス。プレミア初上陸の2人が両チームのメーンキャストとなるか
マンCは懸念の中央守備にメスを
次に多くの投資を敢行したのは、初の欧州制覇とリーグタイトルの奪還に燃えるマンチェスター・シティだ。まずはペップ・グアルディオラ監督を悩ませている中央の守備の問題を解消すべく、ルベン・ディアスとネイザン・アケを推定合計1億ポンド超で迎えた。
ポルトガルとオランダの代表でも主軸を張るこの2人のどちらかが、アイメリック・ラポルテの相棒になるだろう。ただし指揮官がCBに求める水準は非常に高く、4年前に入団したジョン・ストーンズはその期待に応えられず、自信を失っているように見える。
23歳のディアスと25歳のアケに、同じことが起こらなければいいのだが。攻撃陣では、バイエルンへ去ったレロイ・サネの後任候補として、20歳のウイング、フェラン・トーレスを迎え入れている。
マンUは豪華補強でも足元を見られて
シティの同じ街のライバル、マンチェスター・ユナイテッドもドニー・ファンデベーク、アレックス・テレス、エディンソン・カバーニら、優れた即戦力を獲得した。さらにドルトムントのジェイドン・サンチョを欲しがっていたが、その移籍を成立させるには総額2億ポンド超が必要になるとわかり断念。ビジネス優先の金満クラブは、今回も交渉の場で足元を見られているのだ。
またチームが本当に必要としていたのは、トップ下でも攻撃的SBでもベテランFWでもなくCBだったはずだが、米国人が所有する赤い企業クラブは商品価値の高さにプライオリティを置いたのだろう。
そのユナイテッドで指揮を執っていた頃は、フロントの移籍戦略に不満をこぼしていたジョゼ・モウリーニョ監督だが、初のフルシーズンに臨むトッテナムでは、自身の願いをほぼ完璧に叶えてもらった。
ピエール・エミル・ホイビェルグ、マット・ドハーティ、セルヒオ・レギロンら上昇株を加えたうえ、7年ぶりにギャレス・ベイルが帰還。タイトル請負人の指揮官にとって、言い訳のできないシーズンが始まった。