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地上の渋滞を見ながら…鹿島アントラーズの試合にヘリで! “陸の孤島”のセレブな観戦プランって?【25万円~】

posted2021/02/07 17:00

 
地上の渋滞を見ながら…鹿島アントラーズの試合にヘリで!  “陸の孤島”のセレブな観戦プランって?【25万円~】<Number Web> photograph by KASHIMA ANTLERS

渋滞も気にせず東京からカシマスタジアムまで30分の最速移動はまさにセレブ旅だ

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熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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KASHIMA ANTLERS

『Sports Graphic Number』で好評連載中の「スポーツまるごとHOWマッチ」を特別に公開します! <初出:1012号(2020年10月8日発売)、肩書きなど全て当時>

「鹿嶋は少し田舎ですが」

 現役最後の試合を終えた内田篤人は、引退スピーチの中でこう語った。

 そう、鹿嶋は遠い。東京都民が鹿島アントラーズのホームゲームを見に行こうと思ったら、1日がかり。夜の試合なら午前様覚悟だ。

 だが今季、鹿嶋は近くなった。というのも『ヘリコプター観戦プラン』が登場したからだ。商品の開発、販売はアントラーズが2018年1月に立ち上げた一般社団法人アントラーズホームタウンDMOが行っている。担当する矢橋伸一さんが、プランの概要を説明する。

「デイゲームなら東京から、ナイトゲームなら横浜からヘリに乗って約30分で鹿嶋に到着。VIEW BOXで観戦していただき、お土産もつきます。コロナで変更した部分もありますが、ガイドライン上最大限可能なホスピタリティを提供させていただきます」

 気になる価格はデイゲームが1人につき税込25万円から、ナイトゲームが税込40万円から。後者が割高になるのは、夜間飛行になるからだ。これが高いか安いかは、価値観次第。

“陸の孤島”で常勝軍団のしたたかな発想

 せっかくなので、利用者の声を紹介しよう。

 まずは2年前のデモ運航に試乗した、アントラーズ現社長の小泉文明氏。

「たんぼと川の中に、急にスタジアムがUFOのようにボンと出てきて、それが近づいてきたときはテンションが上がりました」

 続いて、テスト運航の体験者の声。

「地上の渋滞を見ながら移動するのは、なかなかできない体験でした」

 潮来インターの大渋滞も、ヘリなら無縁。

 この斬新な観戦プランは、アントラーズでなければ生まれなかった。

「商品のターゲットは首都圏のお客様です。弊社の観戦者は、首都圏の方が5割ほどを占めるからです。つまり、茨城だから成立した商品といってもいいと思います」(矢橋氏)

 内田が引退スピーチで「田舎ですがサッカーに集中できる」と続けたように、Jリーグ史上初のプランは、“陸の孤島”と揶揄されるアクセスの悪さを逆手に取った、逆転の発想から生まれた。こんなところにも、常勝軍団のしたたかさが垣間見える。

 もっとも残念なことに、このプランはまだ催行されていない。3 、4月の試合には数件の予約が入っていたが、コロナによる中止でキャンセルになってしまったからだ。

 そう、いまならあなたが記念すべき搭乗者第一号になれるかもしれない。

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