沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER

セレクションセール売却総額32億6300万円は驚異的。過去最高の売却総額から見える競馬の今。 

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

PROFILE

photograph byumaichi.com

posted2020/09/02 17:00

セレクションセール売却総額32億6300万円は驚異的。過去最高の売却総額から見える競馬の今。<Number Web> photograph by umaichi.com

8月24日に行われたセレクションセールの売却総額は過去最高を記録。ドゥラメンテ産駒キルシュワッサーの2019(牡)が最高額の7200万円で落札された。

「すごい産業で仕事をしているのだな」

「牧場での下見が増えたのは、セレクションセール会場での下見が感染拡大防止対策で取りやめになった影響でもあるのですが、例年以上に馬を吟味することで、購買意欲がさらに膨らんだのかもしれません。コンサイナーとしての立場から言うと、セレクションセールが1カ月延びたことで、馬を見栄えよくつくりやすくなりました。血統はいいのに、それを外面に出せなかった馬のよさを引き出すことができ、高価格に結びついたという側面もあると思います。また例年なら、セレクションセールとサマーセールでは価格に差があるので、お客さんの顔ぶれも大きく変わるのですが、今年はセレクションセールからそのまま残ったお客さんが、サマーセールの価格を押し上げた部分もあったのかもしれません」

 何より大きいのは、競馬がほぼ例年どおり開催されて、高額の賞金が回っていることだろう。

「そうですね。馬たちの活躍する場がこれまでどおり用意されていることは、やはり大きいです。庭先取引(馬主と生産者との直接の売買)もほぼ例年どおりですし、どこかの牧場がコロナ不況で倒産したという話も、これまでのところ聞いていません。自分たちは、すごい産業のなかで仕事をしているのだなと、あらためて思いました」

競馬に活況がつづくように。

 JRAは、先日、10月4日(日)までの無観客開催継続を発表したばかりだが、今年上半期の売上げは、開催日148日(前年開催日140日)で、前年比101.5%の1兆4752億6872万8200円と微増している。

「IT弱者」と呼ばれる中高年のファンもネット投票に慣れてきたようで、無観客でも、馬券は順調に売れつづけるだろう。

 9月22日から24日まではセプテンバーセール、10月19日と20日にはオータムセールが北海道市場で行われる予定だ。

 競馬の開催と、セリの活況がつづくことを願いたい。

関連記事

BACK 1 2 3
セレクションセール
サマーセール

競馬の前後の記事

ページトップ