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今季のMLBに起こり得る異常事態。
23日間で27試合の衝撃と奇跡の予感。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byMike Stobe/Getty Images

posted2020/08/13 07:00

今季のMLBに起こり得る異常事態。23日間で27試合の衝撃と奇跡の予感。<Number Web> photograph by Mike Stobe/Getty Images

今季MLBは公式戦が60試合しかなく、すでに4分の1を終えたチームが多い。今季ならではの事情で波乱が予想される。

2日連続のダブルヘッダーも有り得る。

 9月には23日間で27試合を消化しなければならず、それも「これ以上、試合が中止にならないこと」が前提だ。幾ら今季特別ルールの「7イニング制のダブルヘッダー」を着々とこなし、マーリンズからこれ以上の感染者が出なかったとしても、対戦を予定していた相手チームから感染者が出たら、試合は中止になってしまう。そうなると2日連続のダブルヘッダー開催も有り得るし、数少ないオフ日も代替試合開催のために潰されることになる(今は下位に沈んでいるカージナルスの方はもっと酷くて、3シリーズ計12試合が中止となっており、その穴埋めにオフ日を潰してまで予定していたダブルヘッダーが中止となってしまった)。

 以前のコラム(MLBで勝率7割が出る現実度は?)でも書いたように、現時点でメジャーリーグ最高の勝率.769のカブスを筆頭に、アスレティックスやマーリンズなど勝率7割を超えるチームが多発している。

 まさかこのまま続くとは思わないが、マーリンズの試合中止の相手だったオリオールズやナショナルズ、それに連動して中止になったヤンキースやフィリーズ、ブルージェイズの試合数が少なくなったお陰で、勝率7割越えのチームが多数出るような状況になるだけで事態はかなり混乱する。

低勝率でワールドシリーズに勝つ?

 それに上位チームがあまりにも圧倒的な独走態勢を築くと下位球団の勝率は相対的に下がるかも知れない。いつもの年ならそれでいいのだが、前述の通り、今季はプレーオフに進出できるチームが全30チームの半分以上にあたる16チームに増えたのだ。

 過去には1973年のメッツ(82勝79敗、勝率.509)や2005年のパドレス(82勝80敗、勝率.506)のように、かろうじて勝率5割に達したチームが地区優勝を果たしたことがあるぐらいだから、プレーオフ進出チームが大幅に増えた今季は、勝率5割を切ったチームがワールドシリーズ優勝を果たしてしまう可能性だってある。

 それで思い出したが、2006年にワールドシリーズを制したカージナルスは、公式戦では83勝78敗、勝率.516とたった5試合しか勝ち越していない。そういう低勝率でもカージナルスのように地区優勝してくれればまだ体裁は保てるが、今季のフォーマットを活かして「ギリギリ」でワイルドカードを獲得したチームがワールドシリーズに勝ってしまったら、遠く離れた東の国から「喝!」と叱られるかも知れない。

【次ページ】 過去最大の「ミラクル」が来るか。

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