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パワプロの中の人に聞いてみよう。
あの選手の能力値はどう決めてる? 

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ハル飯田

ハル飯田Haru Iida

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photograph byTamon Matsuzono

posted2020/07/08 10:00

パワプロの中の人に聞いてみよう。あの選手の能力値はどう決めてる?<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

選手も気になるという『パワプロ』の能力値。俊足で鳴らした元阪神の赤星憲広氏(写真)は、OBとして登場した自身の「肩の弱さ」に言及したとか。

中村剛也の「恐怖の満塁男」

 そして忘れてはいけないのが個性を生み出す「特殊能力」だ。「ビハインド時によく打つ」、「ピンチに強い」といった要素は、試合状況に合わせて選手の能力を変動させる仕組みになっている。ある選手のズバ抜けた特徴を再現するために実装された特殊能力の一例が「レーザービーム」や「ささやき戦術」。野球ファンならそのモデルを想像することは難しくないだろう。

 また、ゲーム中には「特殊能力」の上位互換である「超特殊能力」が存在しているのだが、最新作ではライオンズの中村剛也選手にその中のひとつ「恐怖の満塁男」が設定されることも明らかになっている。

「超特殊能力は本当に強力なのでこれまで現役の選手につくことはありませんでした。ですが中村選手にあれだけ何年も満塁で好成績を残されると……つけざるを得なかったですね」

 中村の通算満塁本塁打数は20本。2位の王貞治氏に5本差をつけて歴代最多を独走する大砲の勝負強さに森さんは苦笑いだった。

 特に2019年度のライオンズは、ユーザーの間で、パワプロ歴代最強と言われるほどだった。これも選手の活躍や実績に応じて細かく査定し、結果として超重量級打線が完成したのだという。「山賊打線」は、相手投手陣だけでなく、ゲームバランスを考慮したい開発陣泣かせでもあったのだ。

「イメージと離れないように」

 今回、特に印象的だったのは、森さんが「イメージと離れないように」と繰り返し口にしていたことだ。成績やデータという客観的かつ絶対的な評価基準がありながら、ファンの間で蓄積された主観的な「イメージ」から乖離しないよう、担当者が絶妙なバランス感覚で日々その最適解を探っている。

 約3カ月遅れで待望の開幕となった2020年のプロ野球。交流戦の中止や無観客試合の寂しさは拭えないが、プロ野球が行われていない間にパワプロを用いた「プロ野球 “バーチャル”開幕戦 2020powered by eBASEBALL」や「日本生命 “バーチャル”セ・パ交流戦 powered by eBASEBALL」も実施され、ファンを楽しませてくれた。

 そんなパワプロの開発スタッフにはやはり野球好き・野球経験者も多いそうで、話を聞けば聞くほどそんな制作陣の愛と苦労がたっぷりと感じられた。パワプロを遊ぶ際には、操る選手の能力値がどう決められているのか、その裏側まで想像してみてほしい。

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赤星憲広
中村剛也
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