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コロナに苦しんだディバラの逆襲。
「調子はよくない」のに芸術弾連発。 

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神尾光臣

神尾光臣Mitsuomi Kamio

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photograph byGetty Images

posted2020/07/04 11:00

コロナに苦しんだディバラの逆襲。「調子はよくない」のに芸術弾連発。<Number Web> photograph by Getty Images

ゴール後のお馴染みのポーズで人気のディバラ。コロナウイルス罹患で苦しい時期もあったが、終盤戦で輝いている。

前線を自由に動きチャンスメイク。

 ゴールはことごとくビューティフル。それ以外のところでも前線を自由に動き、パスやドリブルで自由自在にチャンスを作る。チームとして作り出す攻撃の展開には、大体ディバラが絡んでいるといっても過言ではなかった。

 振り返れば、ディバラにとってはいろいろあったシーズンだった。夏には売りに出されようとしていたし、シーズンに入ってもクリスティアーノ・ロナウドらとの共存問題など雑音が絶えず、中断期間中にはよりによって新型コロナウイルスに感染してしまう。

 しかしそのような紆余曲折を経て、彼は試合を決定づけるエースとして成熟を見せつつあるのだ。

サッリ監督は残留を希望した。

 1年前の今頃は移籍話が絶えなかった。やれトッテナムだ、パリ・サンジェルマンなどと噂が立つ。しかし噂だけでなく、「ディバラに対しては移籍のオファーがある」とパベル・ネドベド副会長が言う始末。そして1度はマンチェスター・ユナイテッドへの移籍話が具体化する。ロメル・ルカクの獲得を準備していたインテルに対して横槍を入れたユーベは、マンUに彼のトレードを焚きつけたのだ。

 だがディバラは、去就以前にマウリツィオ・サッリ新監督の意思を知りたいという理由でトレード移籍を拒否。ルカク獲得も宙に浮かせて残ることになった。

 彼自身はユーベに残留し、あくまで監督の眼鏡にかなうよう努力する道を選んだ。戦力の急拡大を図るあまり赤字も金融機関からの負債も大きくなっていたクラブは売却を望んだが、サッリ監督もディバラの残留を希望したという。

 そしてシーズンが開幕すると、彼は徐々に結果を出し始める。第7節のインテル戦で先発するや4分に先制ゴール。その後もCFとして、あるいはライトウイングとしてチームに貢献し続けた。

 新監督の下でも、定位置確保には難しさがある。サッリ監督はロナウドをセンターフォワードとして起用したかったのだが、ロナウドに難色を示されたのだという。しかし希望通りに左サイドに置けば、今度は全体の守備バランスをどう図るかが難しくなる。ディバラの起用はその煽りを食い、時には途中交代を命じられて怒りを露わにすることもあった。

【次ページ】 「ディバラはフォーリクラッセだ」

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パウロ・ディバラ
ユベントス

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