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マンCの通常運転、黙祷、BLM運動。
悲劇も差別も乗り越えプレミア再開。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byGetty Images

posted2020/06/21 11:50

マンCの通常運転、黙祷、BLM運動。悲劇も差別も乗り越えプレミア再開。<Number Web> photograph by Getty Images

「Black Lives Matter」を象徴する片膝付きポーズを取るアーセナルのオーバメヤン。世界の今を象徴する1枚だ。

ゴール判定テクノロジーに不具合!?

 めげずに試合に集中すると、嬉しいことに選手たちは通常と変わりないように見えた。

 アストンビラのキーマンは、ゴールもアシストもチーム1位のジャック・グリーリッシュ。キャプテンマークも巻く10番は相手守備陣の主要ターゲットでもある。今季プレミアで最多の被ファウル数は、この日の90分間で127回から131回に増えた。

 リーグ再開前には、ウイルス感染のリスクからタックルを躊躇する選手が現れるのではとも言われたが、シェフィールドの選手たちはNHS(国民保健サービス)への感謝を示す青いハート型のマークが入ったユニホームを着ていても、前半から迷わずグリーリッシュにタックルを仕掛けていた。

 加えて、実際にはスコアレスドローに終わった再開初戦から、プレミアの魅力の1つであるドラマも提供された。幻に終わったシェフィールドの先制ゴールだ。理由は、ゴール判定テクノロジーのエラーという前代未聞のおまけ付きである。

 FKから放り込まれたクロスをキャッチしたGKエルヤン・ニーランは、ボールを抱えたまま最後はファーポストにいた味方に押し込まれる形でサイドネット内側に身をもたれる格好になった。ところが、偶然にも肝心のボールは混戦状態の中、判定システム用カメラ7台すべての死角となる位置にあった。

やっぱり凄まじいデブライネのパス。

 もちろん、今季開幕から毎週のように物議を醸していたVARに矛先が向いた。肉眼でも確認できたゴールだったのだから、ビデオ判定担当の審判が介入すべきということだ。

「あれがゴールと認められないなんて、ひどい」と妻が呆れれば、筆者も「そもそも主審がピッチサイドのモニター確認を奨励されていないからいけない」と嘆いた我が家を含め、VARが再び争点となるまでにキックオフから42分しか掛からなかった。

 2試合目では12分しか掛かっていない。ただし、こちらはケビン・デブライネのパスに舌を巻くまでの時間だ。

 得点に至らなかったものの、カウンターで自ら攻め上がってラヒーム・スターリングに送ったスルーパスは、約3カ月間の中断期間があっても、チーム練習再開から3週間しか経っていなくても、プレミアのトップクラスが持つクオリティは変わらないと実感させた。

 4年間で3度目のアシスト王を狙うマンCのチャンスメイカーは、前半終了間際に得意のアーリークロスでスターリングの先制点を間接的に演出し、後半早々にはPKをクールに決めるなど、すっかりお馴染みのマン・オブ・ザ・マッチとしての姿を披露した。

【次ページ】 2失点に絡んだD・ルイスは……。

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