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12歳と8歳のゴルファーが作った、
『ウィ・アー・ザ・ワールド』の輪。

posted2020/06/02 07:00

 
12歳と8歳のゴルファーが作った、『ウィ・アー・ザ・ワールド』の輪。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

アメリア・ファンと彼女の妹アレクサの行動が、過言ではなく世界を動かした。彼女がゴルフに取り組んできたことは偶然ではないように感じられる。

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、米ツアーは3月以降、休止状態にある。

 だが、5月にフロリダ州内で開催された「テーラーメイド・ドライビング・リリーフ」と「ザ・マッチ・チャンピオンズ・フォー・チャリティ」という2つのチャリティ・マッチは、タイガー・ウッズやフィル・ミケルソン、ローリー・マキロイといったビッグスターたちの元気な姿と楽しいゴルフを披露することができ、ようやく「人々の役に立つ」というゴルフ本来の目的を果たすことができた。

 そう言ってしまうと、「本来の目的は試合では?」と思われるかもしれない。確かに、米ツアーは世界最高峰のプロゴルフツアーであり、大会規模も賞金額も観客動員数も何もかもが世界一である。技術レベルも選手層も抜きん出ている。

 しかし、米ツアーが何より大切にしているのは、「ギビングバック(社会還元)」のスローガンを地で行くことだ。

 社会還元、社会貢献こそは、プロゴルフの使命。プロゴルファーは社会や人々を励まし、勇気づけるためにプレーするべし。

「そのために僕らはゴルフをやっている」

「それが僕らの存在意義、存在価値である」

 米ツアー選手たちは、そう口を揃える。

元世界1のケプカも。

 3月半ばのプレーヤーズ選手権が初日を終えて中止となったとき、いち早くアクションを起こしたのは、大会に出場していたビリー・ホーシェルだった。

 会場内のレストランや観客用スタンドで20万人超に提供されるはずだったハンバーガーやサンドイッチなどの料理や食材を、クラブハウス裏に横付けされたトラックに積み込み、地域のホームレス・シェルターなどへ運び込む作業にホーシェルは自ら率先して参加していた。

「人々のために自分ができることをやる」

 数日後、元世界ナンバー1のブルックス・ケプカは、地元フロリダのコミュニティのために10万ドルを寄付。ジム・フューリック夫妻は医療関係者のために10万ドルの寄付を申し出た。

 ユタ州出身のトニー・フィナウは地元でマスクやフェイスシールドを作るためのチャリティ活動に自ら参加。

「今、僕の気持ちはすべてここにある」

【次ページ】 ゴルフ場や関連施設に最大10万ドル。

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