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橋本真也vs.小川直也から20年。
『負けたら即引退!』による光と影。

posted2020/04/28 19:00

 
橋本真也vs.小川直也から20年。『負けたら即引退!』による光と影。<Number Web> photograph by AFLO

引退を懸けた戦いに頭を短く刈り込んで挑んだ橋本だったが、小川にSTO6連発を前にKO負けを喫した。

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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AFLO

『橋本真也34歳、小川直也に負けたら即引退!スペシャル』

 プロレスのテレビ放送としては、あまりにも異例でキャッチーすぎるタイトルが付けられたこの一戦。2000年4月7日、東京ドームで行われた小川直也vs.橋本真也の一騎打ちから、この4月で丸20年が経過した。

 テレビ朝日系列の全国ネットで、19時54分から21時48分の2時間枠で生中継されたこの大会。プロレスのゴールデンタイム生中継は、じつに8年3カ月ぶり。それが実現したのは、この前年、1999年1月4日東京ドームで行われた小川vs.橋本が禁断の“セメントマッチ”となり、その事件性とスキャンダリズムが多くの人の関心を惹きつけたからだった。

2度も失態を見せた絶対王者。

 新日本プロレスのトップレスラーである橋本が、東京ドームの大観衆の前で、小川のプロレスの域を超えた攻撃により潰された、前代未聞のこの事件(試合結果はノーコンテスト)。通称“1.4事変”がなぜ起こってしまったのかは、アントニオ猪木が小川に対して“指令”を出した猪木陰謀説や、新日本幹部の橋本制裁説など諸説あり、その真相は未だ明らかになっていない。

 しかし、小川になす術なくやられた橋本の強さのイメージは、この一戦で間違いなく失墜した。

 橋本は名誉挽回を期して挑んだ、10.11東京ドームでの10カ月ぶりの再戦でも完敗。1度ならず2度までも失態を見せた元IWGP絶対王者は、小川との再々戦を前に「引退を懸ける」と宣言する。こうして2000年の4.7東京ドームで、橋本vs.小川の決着戦が決定し、当日生中継を行うテレビ朝日も「橋本真也負ければ引退」を大々的にフィーチャーすることとなった。

【次ページ】 想像を超えた橋本のKO負け。

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