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夏の甲子園に監督、選手たちは?
もし高校球児に選手会があったら。

posted2020/04/25 08:00

 
夏の甲子園に監督、選手たちは?もし高校球児に選手会があったら。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

選手たちに発言の機会があったら、彼らはどんな結論を出し、どんな発信をするのだろう。

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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Hideki Sugiyama

 この夏の「甲子園」を決行するのか否かを討論する高野連の集まりが5月20日に延期になったという報道を知って、「ウワッ!」と思った。

 それじゃ、間に合わないだろう……。そういう思いだ。

 予選、本戦、大会の段取りが……じゃない。肝心の「選手」が間に合わないんじゃないか。そっちのほうの心配だ。

 仮に5月20日に即決で「GO」になったとしても、例年通りの日程なら多くのエリアで7月上旬に予選スタート。沖縄、北海道なら6月半ば過ぎから始まるから、短いところでは予選スタートまで1カ月、長いところでも1カ月半しかない。

 そうでなくても、活動自粛でなまった体を自粛前の状態に戻すのに、休んだ2倍の時間がかかる。これは、本気でスポーツに取り組んだ者の経験則と言ってもそんなに外れてはいないだろう。

甲子園経験監督ですら腰が引ける。

 ということは、選手たちが十分に体力を取り戻す前に予選のスタートがやって来るか、間に合わせようと無理に練習を追い込んだ疲れがドッと出る頃に予選スタートか。

 いずれにしても、あの「真夏の猛暑の熱戦」に突入するには、かなり好ましくないタイミングになるのは間違いない。

 始まってしまえば、この時とばかり、我が身も振り返らず全力プレーになるに決まってるから、選手たちの健康がものすごく心配になってくる。

「いや、もうこの時期まで食い込んできたら、ほんと厳しいんじゃないですかね。そうでなくても最近の夏は、死人を出さんように勝ち進む……と言うと言葉はよくないかもしれないけど、本音としてはそういう状態。それぐらい暑いんです。今年の場合、無理して夏を始めてみても、コロナで生き残って野球で……なんてね。これ、シャレにならんですよ」  

 夏の甲子園を何度も経験して、今もそれを最優先にチーム作りを進めているベテラン監督でさえ、今年に限ってはちょっと腰が引けている。最初は笑って話していたが、最後は怒り口調になっていた。

【次ページ】 勉強に専念する選択肢を提示する進学校も。

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