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南野拓実が去ったトップ下に抜擢。
奥川雅也はザルツで悩み、燃える。 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byGetty Images

posted2020/03/09 08:00

南野拓実が去ったトップ下に抜擢。奥川雅也はザルツで悩み、燃える。<Number Web> photograph by Getty Images

ハーランドやナビ・ケイタ、南野拓実らの存在によってザルツブルクは「有望株の登竜門」となった。奥川雅也もそれに続きたい。

開幕前のマドリー戦後に語ったこと。

 マーシュ監督が名指しで期待をよせる奥川は、これまではドイツ2部リーグのホルシュタイン・キールなどで経験を積み重ね、今季はここまでレギュラーとして活躍している。8日のシュトルム・グラーツ戦では今季リーグ戦8ゴール目を決めたし、昨年10月には2023年5月31日までの契約延長にもサインしている。

 スポーツディレクターのフロイントは「マサヤはレンタル移籍で素晴らしい経験を積んできた。今季は戦術理解やフィジカル面で成長を見せている。チーム内でも重要な役割を果たしている。マサヤはここからさらに、多くの喜びをもたらしてくれると信じている」と契約延長を喜んでいた。特にアシストやゴールに直結する動きが高く評価されているのだ。

 シーズン前、レアル・マドリーとのテストマッチ戦後でのこと。奥川は「ドイツで自信を得てきました。2部ですけど、レベルが高いドイツで出来たというのが(よかった)。カップ戦では1部のチームともやりました。そういう中で自分のプレーが通用していたので、それが自信になっています。自信を結果につなげていけたらいいなと思います」と今季の抱負を語っていたが、その言葉通りの成長を見せている。

南野を誰よりも近くで見ていたから。

 それにしても、欧州1部リーグで主力として初めて臨む年に、クラブ史上初となるCL出場が重なるというのは、すごい巡り合わせではないか。

「いやぁ、わかんないです。でもずっと夢……夢というか、テレビで見てきたので。それが間近に。今年僕らのチームが出るというワクワクの方が大きいです。強い相手とできるのは自分のキャリアの上で大事だと思う」

 奥川は興奮気味にCLの印象を語っていた。そんな憧れの舞台でもプレーすることができた。貴重な経験だったことだろう。

 だが、CLでは印象に残るプレーは見せられなかった。そして、思い出作りでプレーしているわけではないことは、本人が一番よくわかっている。

「一番近くで見ていたので……そうですね。みんなが見ている、活躍すればより大きなチャンスを掴める大会だと思います」

 目の前で大きなチャンスを掴み、世界最高峰のクラブへ移籍していった南野を、誰よりも近くで見ていたのだ。今すぐにでなくても、いずれ自分も。奥川自身、そうした思いを改めて抱いたことだろう。

【次ページ】 ELフランクフルト戦でトップ下起用。

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