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有馬記念を完勝したリスグラシュー。
アーモンドアイとの差は10馬身以上。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2019/12/23 11:50

有馬記念を完勝したリスグラシュー。アーモンドアイとの差は10馬身以上。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

まさに圧勝、ゴールを前にダミアン・レーンは勝利を確信して天を指した。リスグラシューの年度代表馬は確定的だ。

有馬記念から逆算して調整してきた。

 リスグラシューは、今年の宝塚記念でGI2勝目、10月のコックスプレートで3勝目、そして、帰国初戦となったこの有馬記念でGI通算4勝目をマークした。2014年と'16年にリーディングを獲得したトップトレーナーの矢作調教師にとって、意外にも、これが管理馬による有馬記念初出走だった。

「感無量です。帰国後は、有馬記念から逆算して仕上げました。いちだんと体が成長し、絞り切れないほどになったので、悔いのないよう、先週、今週と併せ馬をしました。道中は安心して見ていられました。

 4コーナーで結構辛抱していたので、ジョッキーは自信があったんでしょうね。豪州遠征のあと、日々馬を見ていて、5歳の暮れなのにさらに成長し、進化しているように映りました。私の見る目に間違いがなかったことも嬉しかったです(笑)」

ルメールは沈んだ声で……。

 今年、インディチャンプが安田記念とマイルチャンピオンシップを勝っているが、中・長距離のJRA・GIを2勝したのはリスグラシューだけだ。ほぼ確実に年度代表馬に選出されるだろう。

「JRA賞のなかでも年度代表馬は特別で、一生に一度は獲りたいと思っていました。リスグラシューには『ありがとう』しかない。史上稀に見る名牝です」

 矢作調教師は、そう言って目元を押さえた。

 一方、圧倒的1番人気に支持されたアーモンドアイは、リスグラシューから10馬身以上離された9着に敗れた。クリストフ・ルメールは、沈んだ声でこう話した。

「スタンド前でちょっとスイッチが入ってしまった。冷静に走れなかった。2500mで、いいペースで流れると、リラックスして走らなかったら最後に疲れてしまう。アーモンドアイも疲れてしまいました。

 ハミをずっと噛んでしまい、ぐっと来るところがなかった。フィジカルも大丈夫だし、状態もよかったけど、これも競馬です。今日はリズムがあまりよくありませんでした」

 1周目のスタンド前で、リスグラシューより少し前の馬群の外目につけていた。前に馬を置けなかったためか、珍しく、やや行きたがっているように見えた。結果論だが、サートゥルナーリアが取った、フィエールマンの真後ろにつけたかったところだろう。

【次ページ】 全力を出し切ったとは言いがたい。

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