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南野拓実「僕はいつも通りです」
CL王者リバプールに敗戦も前向き。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2019/12/11 20:00
昨年のCL王者リバプールに敗れ、グループ敗退となったザルツブルク。それでも南野は確かな成長を実感しているようだった。
スッとフリーに、スッと入れ替わって。
あのリバプールがボールを自陣から運べない。鋭いプレスの矢が何度も何度も飛んでくる。ボールを回収するとノルウェー代表FWハーランド、韓国代表FWファン・ヒチャンがターボ全開とばかりにスペースへ飛び出していく。警戒して少しラインを下げるリバプールの守備陣前で、スッとフリーになってパスを引き出すのが南野だった。
守備間のスペースでパスを受けると、相手が困る。それは誰でもわかっているが、そう簡単にいくものではない。相手も警戒するし、次の展開を読み素早く寄せてくることもある。絶えず相手がマークに来られないところに動きながら、そのポジションを取り続けるのは至難の業だろう。
そしてパスを受けると、何と機敏な動きで相手のマークを外していくことか。ボールタッチのタイミング、ボールを運ぶコース取り、間合いのとり方。相手はつっかけることができない。ひとつ一つの動きに滑らかさがあり、相手に強く当たられても、スッと体を入れ替えてボールを自分のものにしてしまう。
「前半はプラン通りうまくいった」
7分、ヒチャンからのパスでペナルティーエリア内に侵入すると、中の様子をちらっと見てヒールでリターンパス。抜け出したヒチャンのシュートをGKが弾く。すかさず南野が反応するがこれにもGKは反応する。16分、左サイド深いところでボールを持つと、細かい動きから相手を外して左足でゴール前にクロスを送る。21分には、南野を経由してザルツブルクがカウンターを仕掛ける。
23分にはパスを引き出し、その後の展開が左SBウルマーのチャンスにつながる。24分、ワンツーパスからドリブルで運び、ハーランドへラストパス。29分にはペナルティーエリア内でパスを要求するが、ヒチャンからのパスが少し乱れる。
連続でリバプールゴールに迫っていく南野らに、思わずCBファンダイクは両手を広げて味方に不満を表していた。昨季王者が重圧を感じているのか。ザルツブルクのコーチングゾーンでは、マーシュ監督がこぶしを握り締めながら、激しいジェスチャーで選手を鼓舞し続ける。
「(アウェーでのリバプール戦の時より)もう少しコンパクトな守備で、失点をしないということを前よりも考えてチームとしてプレーしたつもりです。だからそういう意味では前半はプラン通りうまくいった」