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タカマツ「最後の最後まで2人で」。
東京五輪への挑戦はまだ終わらない。 

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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photograph byItaru Chiba

posted2019/12/03 11:40

タカマツ「最後の最後まで2人で」。東京五輪への挑戦はまだ終わらない。<Number Web> photograph by Itaru Chiba

2007年にペアを組み、リオ五輪で金メダルを獲得した“タカマツ”。厳しい東京五輪代表の座への争いに、最後まで向き合う。

「金」を目指していた時とは違う。

 金メダルを獲得したリオ五輪後、ポストイヤーだった2017年は主要大会に出続けながらも気持ちの上がらない日々が続き、苦しんでいた。世界ランクは上位をキープするも、優勝もすれば1回戦負けもあるなど、安定感を欠いた。

 一時は現役続行のモチベーション低下に悩み、試行錯誤を繰り返す日々を過ごした。

 そんな中、東京五輪を目指すことを決意した。先輩たちの背中を追っていた時、そしてリオ五輪で金メダルを目指していた時とは異なり、立場も気持ちも180度変化する。リオ五輪のレース以上に険しい戦いになることは想像に難くなかった。それでも彼女たちは葛藤の末に決断した。そして目指すのであれば「今までの自分たちではダメ」と自らを律することも忘れなかった。過酷な五輪レースを経験しているからこそ、生半可な覚悟では通用しないことを誰よりも彼女たち自身が理解していたからだろう。

熾烈な東京五輪の代表争い。

 今年4月末からスタートした2020年東京五輪の女子ダブルスの代表争いは熾烈を極めている。

 最大2枠をめぐって、現在、ワールドランキング2位に福島由紀・廣田彩花ペア、同3位に永原・松本ペアと続き、高橋・松友ペアは4位で後輩の2ペアを追う形となっている(世界ランキングは12月2日時点)。

 来年4月30日付けのワールドランキングに基づき各種目の出場選手が選出されるため、高橋・松友が逆転で五輪切符を獲得するには、残り5カ月での巻き返しが必要不可欠だ。日本代表の朴柱奉ヘッドコーチも「(ワールドランキングの)ポイント的にはピンチだと思う。来年1月から4月のレースで優勝が何回かないと心配になる」と指摘。崖っぷちに立たされていることは、本人たちも自覚している。

「最後までしっかりと戦いたいです。最終的に世界ランク4位以内にいて(五輪に)出られなかったら、それはそれで……もちろん、悔しいと思いますが。自分たちも場所は異なりますが、五輪という舞台を経験して、金メダルを獲らせてもらっている。とにかく、“いいバドミントン人生だったな”と思えるよう、最後まで、4月末までしっかりと頑張っていきたいです」(高橋)

「最後の最後まで2人で、後悔しないように」(松友)

 ふたりの挑戦はまだまだ終わらない。

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