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東スポの「人面魚」に「桜を見る会」。
スポーツ紙はうしろからでも面白い。 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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posted2019/12/01 09:00

東スポの「人面魚」に「桜を見る会」。スポーツ紙はうしろからでも面白い。<Number Web> photograph by Kyodo News

「桜を見る会」で小走りで移動する安倍首相。国会でのドタバタ模様を各紙はわかりやすく報じていた。

「桜を見る会」の各紙の見出しは?

『手荷物を見ない会』(スポーツ報知・11月16日付)

 首相の後援会の優遇ぶりが一発で伝わってくる。

『安倍首相 行ったり来たり』(日刊スポーツ・11月16日付)

 これは首相が一連の疑惑について説明したときの様子を見出しにしたもの。

 官邸での番記者相手のいわゆる「ぶらさがり」だったが、国会ではなくここで決着させたい首相は記者に質問されるたびに戻ってきて答えるというドタバタだったという。これを日刊スポーツは「ダルマさんが転んだ状態」と評した。わかりやすい。

『え~っ、国民誰も信じないよ~』と書いたのはスポーツニッポン。何かといえば、

《「桜を見る会」前日夕食会 安倍首相 明細書『ない』》という見出しが続いていた(11月19日付)。

「桜を見る会」はこの案件自体がわかりやすく、すでにスポーツ新聞的なのが特徴だ。

 そこに苦しい言い訳のようなものがどんどん飛び出すからますます転がっていく。「シュレッダーの予約が一杯で」とか、まさに喜劇のよう。スポーツ紙が普通に報じても満開になる。

うしろから読んでも面白い。

 それにしてもポスト安倍を狙う野心家ならここでこそ仕掛けそうだが、今の自民党はおとなしい。

 スポーツ報知は首相の「超長期政権の理由とは?」と題して亀井静香氏にインタビューしていた(11月18日付)。亀井氏は後継者不足と器量不足を指摘し、その結果、紙面に次の見出しがデカデカと踊った。

「みんな、おチンチンついてないんだ」

 とてもわかりやすい社会面だったのである。

 スポーツ紙は一面からではなく、うしろから読んでも面白い。

 11月のスポーツ新聞時評でした。

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