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田中史朗&田村優のコンビが再結成。
キヤノンで、そして代表での「次」。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2019/11/27 20:00

田中史朗&田村優のコンビが再結成。キヤノンで、そして代表での「次」。<Number Web> photograph by AFLO

田中史朗と田村優の9、10番は日本代表の心臓だった。キヤノンで新たな挑戦が始まる。

田村のレベルにチーム全体を底上げする。

 田村も表情を緩める。孤軍奮闘の印象もあった昨シーズンまでとは、フィールド上の景色が変わっていくに違いないからだ。

「僕のつらさを理解してくれている、心強い先輩が来てくれた。このチームには日本代表が自分ひとりしかいなかったので、そういう選手がそばにいてくれるのは助かります。

 フミさんはまだまだパフォーマンスを上げていくと思う。同じチームでプレーできて友だちとして嬉しいし、選手として心強い。W杯でもそうでしたけど、ふたりでゲームを動かせるというのが一番じゃないですか」

 天才肌のスタンドオフが、ポテンシャルをどこまで開放できるか。チーム浮沈のカギを握るポイントだ。ほかでもない田中は、すでに具体的なビジョンを描いていた。

「色々と話を聞くと、田村のレベルが高くて少し(プレーの面で)浮いていると。周りのレベルを上げてチームとして戦えるようにすれば、彼のレベルで全員が戦えばトップリーグ優勝も見えてくる。チーム内でコミュニケーションをとって、彼が輝くようなチームにしていきたい」

アイルランド戦より大きなチャレンジ。

 新シーズンのトップリーグは豪華絢爛だ。世界王者の南アフリカや大国ニュージーランドなどから、W杯プレーヤーが続々とやって来ている。キヤノンもバックスのオールラウンダーのジェシー・クリエルを獲得したが、優勝争いに割り込んでいくのはハードルが高い。

「キヤノンはこれから強くなっていくチームなので。日本代表がアイルランドにチャレンジするよりも、キヤノンがトップリーグにチャレンジするほうがもっと高いカベになると思います」

 田村はそう言って表情を引き締め「キヤノンで日本一になりたいですが、それはビッグチャレンジです」と言い添えた。冷静な現状認識が、彼らの現在地を示している。

 日本代表については、明言を避ける。

「僕が決めることではないし、まだ(W杯)が終わったばかりで、先のことは考えられない」と話す。「日本代表は生半可な状態で行くところではないし、自分が100パーセントで、求められる状態ではないと行けない」とも語り、「僕が決めることではないと思います」と繰り返した。

【次ページ】 田中は代表への気持ちを明言した。

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