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柳田将洋が語る新シーズンへの覚悟。
ケガとの戦い、W杯で得た「泥臭さ」。 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byWataru Sato

posted2019/11/18 19:00

柳田将洋が語る新シーズンへの覚悟。ケガとの戦い、W杯で得た「泥臭さ」。<Number Web> photograph by Wataru Sato

W杯の激闘を終えた後、インタビューに答えた柳田将洋。新たなシーズンへ、すでに挑戦は始まっている。

柳田が大切にする「泥臭い」こと。

 すでに開幕したドイツ、ブンデスリーガ。柳田が所属するユナイテッドバレーズは6試合を終え4勝2敗の3位。チームも上々のスタートを切っており、スロベニア、ベルギー、オーストラリアなど、チームメイトは多彩な顔ぶれが揃う中、着々と出場機会を増やし、スタメン出場した9日のリューネブルク戦は3-1で勝利を収めた。

「いいシーズンにしたいし、いいシーズンにできると思っている」

 そう言い切り、見据える先には当然、次なる目標がある。

「どれだけコートに立ってプレーすることができるか。そのためには、いかにストロングポイントを見せられるか。そう言うと、プレーの面だけに目が行きがちですが、実はもっと泥臭い部分も、僕は大切だと思っています。

 たとえば、日本人の僕らにとっては練習からフルパワーでやるのは当たり前だけれど、外国人はドライな時はドライだから、意外とすぐ『疲れた』とか言うんです(笑)。そこは彼らと迎合したくないし、どれだけ自分の色が出せるか。選ぶのは監督だから、俺はこれもできますよ、こっちもできますよ、どうでしょうか、とアピールすることで『使おう』と思われれば次につながるし、コートに立ち続ける評価も得られるはずです」

33歳福澤のプレーを見て。

「海外へ行く前、これだけ恵まれた環境の日本にいても、『何でこれぐらいのこともやってくれないんだろう』と周りに不満を感じることもありました。でも海外へ行って、言葉も通じない状況で、相手にベクトルを向けていても何も変わらない。『何でやってくれないんだ』じゃなく、ベクトルを自分に向ける。人を変えようとするのではなく、人を動かす。そこに気づけたのも海外で経験を重ねたからであり、そう思えること自体が、自分のストロングポイントだと思っているので、そこは譲らず勝負したい。

 ワールドカップで見た福澤(達哉)さんのプレーは、そういう面でも学ぶことばかりでした。あのパスを軸として、チーム内、石川(祐希)との関係性がつくられていたし、あれが僕にもできれば、その場にいる時以上に、外れた時に『柳田がいないと崩れる』と存在感が出せるようになるはずです。

 足首のケガをして、コンディションで苦しんだ時、正直どこかで『歳を取ったな』と思っていたんです。でも、それは言い訳ですよね。だって、日本代表で33歳があれだけすさまじい準備と気持ちを見せて打っていたわけだから。まだ27歳。負けられないですよ」

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