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U-17W杯とU-20W杯で世界を獲る。
影山監督と森山監督の連携と継続。 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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posted2019/11/05 19:00

U-17W杯とU-20W杯で世界を獲る。影山監督と森山監督の連携と継続。<Number Web> photograph by Takahito Ando

U-18日本代表を率いる影山雅永監督。2年後のU-20W杯出場を目指し、まずはアジアの戦いに挑む。

2大会連続で率いる意義。

「他の人に断られたからじゃないですか(笑)」

 この意義ある取り組みに対し、影山監督はこう冗談で答えたが、すぐに表情を引き締めた。

「関塚隆委員長、内山篤委員からも『2大会連続でやることは意義のあることだ』と言われ、引き受けました。ポーランドで少し積み残した部分があったので、今度は前回以上にやるべきことをやりたいと思っていますし、隙を見せないで臨みたい」

「積み残した」ことは何かと問うと、影山監督は「選手選考の部分かもしれないし、2年半の時間の使い方かもしれないし、試合の最後のカードの切り方などいろんな要素があります。『前回があったから影山も多少は成長したな』と言われるようにならないと、2回やっている意味がないと思っています」と答えた。

 もちろん、就任したばかりの現在では多くを語れないだろうが、重要なのは影山監督がポーランドでの経験を新たなU-18日本代表の活動に生かそうとしていることだ。世代が代われば、メンバーの個性も異なるが、過去の反省や教訓を生かして強化に繋げる。

前回は20人中12人も引き上げた。

 現時点で垣間見ることができたのは、影山監督の「選考基準」を選手たちが感じ取っていることだ。

「僕らの最終目的は(2021年の)U-20W杯。もし、W杯や来年のアジア最終予選に出場するができれば、さらに下の年代(の選手)が上がってくる。今年のU-20W杯を見ると、U-17W杯組(2017年インド大会)が多く加わっている。チームとしても個人としても絶対に勝ち残りたいと思っているし、同じ影山監督だからこそ、より危機感を持ちながら取り組んでいます」

 こう語るのは、今回の予選メンバーに選ばれたMF武田英寿(青森山田高)だ。すでに浦和レッズ入りが内定し、このチームの主軸候補に挙げられる彼は、緊張感を持ってこの合宿に臨んでいた。

 武田の言葉にあるとおり、影山監督はU-20W杯で9人も下の世代から引き上げた。GK鈴木彩艶、DF鈴木冬一、瀬古歩夢、菅原由勢、喜田陽、小林友希、MF斉藤光毅、FW宮代大聖、中村敬斗(斉藤と瀬古は負傷によりU-17W杯出場辞退)。さらに彼らと同年代にあたるDF東俊希と三國ケネディエブス、もう1つ下の世代にあたるFW西川潤も選出。1999年1月1日以降生まれで構成できるU-20W杯のメンバーの中で20人中12人が2000年1月1日以降生まれだった。

【次ページ】 選手に植え付けた競争意識。

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