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2019年ドラフト査定!<パ編>
佐々木朗希指名のロッテが最高点。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2019/10/19 12:00

2019年ドラフト査定!<パ編>佐々木朗希指名のロッテが最高点。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

大船渡高校のチームメイトたちに囲まれる佐々木朗希。井口資仁監督のもと、どんな投手に成長していくのか。

石井一久GMの存在が目立った楽天。

◇楽天 50点

 石井一久GM(ゼネラルマネージャー)が臨んだ2度目のドラフトは解説が難しい。石井氏の主導なら、今回は自分の色を出したかった。もっと直截的に言えば、「どうだ俺の(プロの)眼力」というアピールに見えた。その目はチームの将来より、野球ファンやマスコミに対するアピール(宣戦布告)に見えた。

 外れ1位小深田大翔(内野手・大阪ガス)は都市対抗2回戦のJFE東日本戦、2番ショートでスタメン出場し、5打数1安打を記録している。ここで注目したのは脚力。二塁ゴロで一塁到達3.87秒、ライトへのクリーンヒットで4.26秒はプロでもトップレベル。しかし、来季25歳。二塁・浅村栄斗(同30歳)、遊撃・茂木栄五郎(同26歳)の牙城を切り崩せるだろうか。2位黒川史陽(内野手・智弁和歌山高)は右投左打の二塁手で、浅村とは10歳以上の年の差があるので違和感はない。だが、2位より下でも獲れたのでは。

佐々木を外した日ハムは河野を。

◇ロッテ 95点

 パ・リーグ4球団が競合した佐々木朗希(投手・大船渡高)の交渉権を抽選で獲得したことが大きい。佐々木は私が長い間見てきた中でも最高の速球投手である。夏の岩手大会4回戦、盛岡四高戦で延長12回、194球を投げ、物議をかもしたが、「8回裏に投げた117球目がこの日最速の160キロ」という部分にもっと注目してほしい。

 ストレートだけでなくカーブ、スライダー、フォークボールの精度が高く、投球フォームもいいのでコントロールも安定している。来年の7月くらいには一軍に上がっていても不思議でない。

 2位佐藤都志也(捕手・東洋大)は強打、強肩、俊足の3拍子が高いレベルで揃っている。一番若いキャッチャーが来季26歳の田村龍弘と宗接唯人なので需要にも合っている。3位高部瑛斗(外野手・国士舘大)は東都2部リーグの新記録、通算129安打を積み上げた安打製造機。ロッテの外野陣は右打者が中心で、左打者で俊足は内野陣を見回しても藤岡裕大くらい。センターからの強肩も目立ち、レギュラーに近い完成度を備えている。

◇日本ハム 60点

 1年後の目先の勝利でなく将来を睨んだ指名をする日本ハムが珍しく即戦力候補を上位に並べた。「シーズン後、去就が話題になった栗山英樹監督に即戦力をプレゼントしたのか」とはスカイAのドラフト中継のときに滑って出た言葉だが、的は外していないと思う。今年の5位転落は攻撃陣のホームラン不足(12球団中11位の93本)が最大の要因だが、シーズン中盤以降の先発、リリーフ陣の不振もチームの足を引っ張った。

 外れ1位河野竜生(JFE西日本)、2位立野和明(東海理化)の左右本格派は去年から上位指名が予想されていた。ともに150キロを超えるストレートと、河野は縦変化のスライダー、立野はフォークボールに威力を秘め即戦力の可能性を感じさせるが、都市対抗の出来がよくなかったこともあり3、4年先の近未来に太鼓判が押せない。

【次ページ】 覚悟が見えたオリックスの顔ぶれ。

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