フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER

紀平梨花、シーズン初戦優勝。
練習での不調を覆した集中力。 

text by

田村明子

田村明子Akiko Tamura

PROFILE

photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2019/09/17 16:00

紀平梨花、シーズン初戦優勝。練習での不調を覆した集中力。<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

フリー後半の3フリップ+3トウループなどを見事に決めて、総合224.16で優勝した紀平。

ベテラン勢の武器は全体のクオリティの高さ。

「4回転をすごく意識していたけど、もう少し基本にかえったほうがいい。色んな難しいことをいっぱい練習するんだけど、ベーシックなことをいろいろやったほうが全体がきれいになる。基本的なただのスケーティング、ただのクロスオーバー、基本に立ち返って単純な練習が必要じゃないかな、と思っています」

 確かにジュニアから上がってくる若手たちがジャンプの難易度で勝負をするのなら、受けてたつベテラン勢の最大の武器は全体のクオリティの高さになる。シニア2年目になる紀平にとって、すでにある高いジャンプの能力と共に全体の質をさらに高めることは大きなメリットになるだろう。

2位のメドベデワは『SAYURI』に挑戦。

 SPをほぼノーミスできめて2位に立ったエフゲニア・メドベデワは、フリーでは、着物をイメージしたコスチュームをまとって映画のサウンドトラック『SAYURI』に挑んだ。

「何年か前に映画(『SAYURI』)を見て、滑ってみたいと思ったけれど当時の私にはまだ精神的にその準備ができていなかった。今なら準備ができたと思って、今年のフリーに選んだの」と本人が語った思い入れのあるプログラムだという。

 回転不足や不正エッジなど小さなミスはいくつかあったが、最後まで流れを途切れさせることなく滑り切った。フリー142.29、総合217.43で昨年に続いて2位という最終順位。だが同じ2位でも、昨年とは意味が違うという。

「(カナダに移住したばかりの)昨シーズンと今の私とは、まったく気持ちが違います。新しい環境に慣れて、リンクにもコーチにも慣れて、以前より自信もつきました」

 そう本人が語ったように、数日前にロシアのテストスケートから戻ったばかりとは思えない、コンディションの良さだった。

「疲れている暇なんてありません。やることが多すぎて」と笑顔を見せた。

 3位には韓国のイム・ウンスがSP5位から上がり、SP3位だったアメリカのカレン・チェンは総合4位だった。
 

BACK 1 2 3
紀平梨花

フィギュアスケートの前後の記事

ページトップ