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釜石にラグビーW杯がやってくる!
震災から8年、1万人が集まった。 

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近藤篤

近藤篤Atsushi Kondo

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photograph byAtsushi Kondo

posted2019/08/09 11:40

釜石にラグビーW杯がやってくる!震災から8年、1万人が集まった。<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

釜石鵜住居復興スタジアムで初めて行われた日本代表戦(フィジー戦)には1万3000人の観客が押し寄せた。

ラグビーに触れて感じたこと。

 スタジアムに隣接する震災資料館を見学し、昼食を終えると、ツアーは釜石市内に移動し、釜石情報交流センターで洞口留伊さんという高校3年生の話を聞く。彼女は鵜住居小学校3年生の時に被災した。

 その後、釜石東ロータリークラブが地元の中学生を対象に募集した'15年W杯イングランド大会の視察に応募し、日本対スコットランドの試合を現地で観戦した。

 ラグビーのことはそれまでほとんど知らなかったが、その激しさに驚き、敵も味方もいいプレーには拍手を送るその精神に心を打たれた。

 何より、現地に行って、他国の人たちに声をかけてもらっている中で、本当に感謝の気持ちを伝えたいと思い始めた。

「私たちが震災の後も、ランドセルにしても、勉強道具にしても、色々な方からの支援があったからこそ、こうやって諦めないでやってこられたのは、ずっと思っていたことなんです。でも、その気持ちをどうやって伝えればいいんだろうって」

英語で伝えた感謝の思い。

 ある日、彼女は通っていた高校で行われた外部講師を招いての講義で、講師のひとりにこう尋ねた。

「高校生の自分は、釜石の復興のためにいったい何ができるんでしょうか?」

 数カ月後、彼女は釜石鵜住居復興スタジアムでのオープニングイベントで、スタジアムキックオフ宣言を行うことになる。そこで彼女が強く伝えたのは、支えてきてくれた人々への感謝の念だった。

 THANK YOU EVERYONE IN THE WORLD FOR YOUR SUPPORT.
 WE HAVE RECOVERED AND WILL MOVE ONWARDS FROM THE EARTHQUAKE.
 WE ARE LOOKING FORWARD TO SEEING YOU IN KAMAISHI NEXT YEAR.

 4分ほどのスピーチの中で、彼女は英語でそう伝えた。

【次ページ】 釜石はどのくらい遠いんだろう。

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