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サニブラウン、山縣亮太、桐生祥秀。
スプリンターに共通の“自動化”とは。

posted2019/07/03 11:30

 
サニブラウン、山縣亮太、桐生祥秀。スプリンターに共通の“自動化”とは。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

日本選手権ではサニブラウンが2年ぶりに100m、200mの二冠を達成した。

text by

田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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Nanae Suzuki

 6月28日、陸上の日本選手権男子100mではサニブラウン・アブデルハキーム選手が10秒02で優勝を果たしました。

 サニブラウン選手は前日の準決勝でも、10秒05という好タイムを出していました。さらに直前の全米大学選手権でも、準決勝9秒96(追い風参考)、決勝9秒97(日本新)と、大一番で2本続けて会心のレースをしています。

 そんなサニブラウン選手の抜群の安定感を見て、これが「“自動化”できている選手」の走りなんだと実感しました。

 近年、スプリント界で使われている「自動化」という言葉を教えてくれたのは、中央大陸上部ヘッドコーチの豊田裕浩氏でした。豊田氏は飯塚翔太選手ら多くのスプリンターを育て、日本陸上競技連盟の育成部にも名を連ねている人物です。

 その豊田氏が選手の練習を見ながらよく口にしていたのが、「今は“自動化”の時代なんですよ」という言葉でした。

急に「よーい、ドン!」と言われても。

 この「自動化」とは、たとえば急に「よーい、ドン!」と言われて走っても、そのときに自分が出し得るタイムを、当たり前のように出せるようになることを意味します。平均的に高パフォーマンスを出すための、いわば走法の再現性を高めていくことです。

 豊田氏が、日本のスプリンターと「自動化」の現状を解説してくれました。

「日本のスプリント界で、早い段階で自動化を覚えたのが山縣(亮太)選手でした。山縣選手は練習から常に高いパフォーマンスを出せていて、いち早く試合と練習がほとんど変わらないランナーになれたのです。

 そして、桐生(祥秀)選手が自動化をつかみ始めた矢先、10秒を切りました。桐生選手、サニブラウン選手はもう感覚をつかんでいるかもしれませんね。今、練習を見ている飯塚もあともう少し。東京五輪までにつかむことができれば、身体のサイズの大きい飯塚はさらに飛躍する可能性があります」

【次ページ】 練習と試合で同じパフォーマンス。

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