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防御率12球団最下位の西武を救うか。
左キラーに生まれ変わった平井克典。 

text by

市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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posted2019/05/16 10:30

防御率12球団最下位の西武を救うか。左キラーに生まれ変わった平井克典。<Number Web>

26名の左打者と対戦して被安打2、被打率は.077。ほぼ完ぺきに抑えている(5月12日時点)

プロに入って一度は捨てた球種

 平井は振り返る。

「フォークはもともと投げていたボールで、社会人時代も試合では投げていたんです。でもプロに入って、使えないと思って捨てて投げなくなっていました。去年、9月くらいから試合でまた投げるようになったんですけど、それでも僕の中では信頼のないボールで、『大事なところでは使えないな』という感覚でした。試合で勝負できるボールじゃなかった」

 そんな中、昨年の秋季キャンプ中に「どうしても左(バッター)を抑えないといけない。このままでは(中継ぎの)仕事にならない」と思った平井は、ふとフォークの存在を思い出した。

「なんとか、もう1球種、自信を持てるボールを作りたい、と。いろいろと試行錯誤して行きついたのがあの球です」

 試行錯誤を繰り返した結果、独特の落ち方をするようになった。

森友哉「これならいけると思います」

 平井のフォークはいわゆる上手投げの投手が投げるフォークとは軌道が違う。サイドハンドから投げるため、人によってはシンカーにも見えるという。平井だからこそ投げられる独特のボールだ。

「いわゆる千賀(滉大・ソフトバンク)の投げる、本物のフォークとはちょっと違いますね。僕はサイドに近い投げ方なので、そこは真上から投げるフォークがもちろんいいと思うんですけど……。

 ただオープン戦で投げるうちに徐々に手応えも感じましたし、友哉(森捕手)とも話して『もっと試合で使って行こう』と。友哉は自分の考えをはっきり言うキャッチャーなので、使えないボールならはっきりと言います。でもその友哉が『これならいけると思います』と言ってくれました。徐々に自信を持って投げられるようになって、今は武器のひとつになりました」

【次ページ】 唯一無二のスライダーと、選択肢。

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