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J3最下位も味わった北九州。
ミクスタと共に歩む再建への道。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2019/04/21 17:00

J3最下位も味わった北九州。ミクスタと共に歩む再建への道。<Number Web> photograph by Takahito Ando

J3第6節アスルクラロ沼津戦では今季初黒星を喫したが、期待を抱かせる戦いを見せるギラヴァンツ北九州。

加藤が感じた街の変化。

 加藤は今年のチームの手応えを感じる一方で、変化も感じ取っていた。

「まだ6試合を消化したに過ぎないのに、街の人たちの振る舞い、僕ら選手たちへの対応が変わっていると感じるんです。ギラヴァンツの名前を出すと『今年、凄いね』と言われるようになった。

 冷静に考えると、今季のように勝ちが続いていたのは、僕が移籍してきた'15年以来。当時はまだ本城(陸上競技場)でやっていたこともありますが、盛り上がり方が全然違う。街の人たちがミクスタで戦っていることを知って、その結果を気にかけてくれるようになったし、単純にギラヴァンツの名前を耳にする機会が増えた。

 アウェー2連戦を連勝してホームに帰ってきたら、観客が5000人近くも入っていた。入場した瞬間に『かなり増えている』とわかるほどでした。

 今年は僕らに対して大きな期待感を持ってくれている気がするんです。その機運を感じるからこそ、無駄にしないように、クラブとしての飛躍につなげるために、本当に頑張らないといけない。僕らの努力次第では変えられるものはたくさんあると改めて感じました」

「これ以上、甘えるわけにはいかない」

 こういう機運はそう何度も訪れるものではない。そのことを加藤を始めとする、北九州で長くプレーする選手たちは間違いなく感じている。

「ベテランや在籍年数が長いチームメイトとよく話すのですが、結局は僕ら次第なんです。ミクスタの平均観客数を6~7000人台まで持っていくためには勝っていくしかない。

 僕にとって北九州は拾ってもらった恩があるし、それに北九州の街が好きなんです。凄く住みやすいし、まだまだクラブの認知度は低いかもしれないけど、応援してくれる人たちは本当に温かい。

 スタジアムまで足を運んで試合を観に来てくれるようになったし、年に1度の『ギラフェス』では、一昨年が1万4000人、昨年は1万3000人もの人がスタジアムに来てくれた。ミクスタだからこそなせる業だったし、周りの方々がが僕らのために努力してくれた結果でもあった。これ以上、厚意に甘えるわけにはいかない」

【次ページ】 3年計画、まずは基盤づくり。

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ギラヴァンツ北九州
加藤弘堅

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