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世界がアーモンドアイにお手上げ。
凱旋門賞で唯一の心配は臨戦過程。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2019/04/02 16:00

世界がアーモンドアイにお手上げ。凱旋門賞で唯一の心配は臨戦過程。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

世界のホースマンが、アーモンドアイの動向に注目している。今回の勝利でその熱はさらに上がっただろう。

ライバルが失速するのを尻目に快勝。

 こうして勇躍ドバイターフへ駒を進めた日本の最強牝馬。迎え撃つライバル達の筆頭格にいたのがドリームキャッスル(せん5歳、S・ビン・スルール厩舎)だ。

 ドバイターフと全く同じメイダン競馬場の芝1800mで行われる前哨戦のジェベルハッタ(GI・UAE)では馬群の大外を回りながらも先行勢を一蹴。次元の違う末脚を披露していた。

 去勢後は負け知らずの連勝中であることに加え、今シーズンのドバイはとくに地元ゴドルフィン勢が強く、当日を迎えるまでに芝で行われた12の重賞を全て制している事もあり、強力なライバルになるかと思われた。

 しかし、勝負の行方は思わぬ結末を迎える。直線に向き、抜け出すか?! という場面も演出したドリームキャッスルだが、何かのアクシデントがあったのか、急失速。結局、最下位に沈んでしまう(レース後の獣医の診断では何も発見されず)。

 これに対し、アーモンドアイはまざまざと力を見せつけた。イレ込み気味のパドックはいったい何だったのだろうと思わせるくらい、終始危なげのない競馬。馬群に包まれないよう、外を回りながらも早目先頭から押し切った。

 日本のヴィブロスが思った以上に善戦し差を詰めたものの、その時はすでに勝負は決していた。JRAのオッズでは実に1.2倍という圧倒的な支持に応え、1分46秒78の時計で優勝してみせた。

マーフィー騎手も事実上のお手上げ。

 ジャパンCの衝撃は世界中を駆け巡ってはいたものの、今回は自らアウェーに出ての完勝劇。本当の意味で世界へ向けてヴェールを脱いだ形だ。

「もちろん全力を尽くしたけど、まぁ、アーモンドアイが勝つだろうとは思っていましたよ」

 センチュリードリームに騎乗したオイシン・マーフィー騎手はそう言った。昨年の暮れから今年の年頭にかけて短期免許で来日し、日本馬の強さを充分に知っている彼は「予想出来る結果だったので何も驚きはありません」と続けた。

【次ページ】 世界中がアーモンドアイに注目している。

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