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工藤壮人が山口で示す存在価値。
「懐かしい感覚が、蘇ってきた」 

text by

石倉利英

石倉利英Toshihide Ishikura

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photograph byJ.LEAGUE

posted2019/03/28 16:30

工藤壮人が山口で示す存在価値。「懐かしい感覚が、蘇ってきた」<Number Web> photograph by J.LEAGUE

山口で輝きを取り戻しつつある工藤壮人。J1昇格へ、エースFWの活躍は不可欠だ。

霜田監督との出会い。

 今季プレーするクラブを思案する中で、J1の他クラブが興味を持っていることも聞いていた。それでもJ2の山口を選んだのは、「このクラブに可能性を感じたから」。そして何より、「以前から知っている霜田正浩監督が、自分を必要としてくれていると感じることができたから」だった。

 その霜田監督は、工藤の加入後初ゴールを「少しずつ、僕の知っている彼のトップパフォーマンスに近づいている。ストライカーとしての能力、嗅覚は全く衰えていないと思っています」と評した。「やはり試合に出ていなかった時間が長いので、まだまだのところもありますが、時間が解決してくれるのではないかと思っています」という言葉には、工藤が感じた通りの信頼がうかがえる。

 工藤が復活への歩みを進める一方で、今季序盤の山口は苦戦が続く。3月24日の第5節・栃木SC戦は0-1で敗戦。開幕からホーム3連敗となり、通算1勝4敗で21位に沈んでいる。

 工藤は36分、76分と、いずれも左からのクロスに合わせてシュートを放ったが、決められず。特に76分のプレーは、DFとGKの間に鋭く走り込んだ位置取り、右足のジャンピングボレーで合わせたシュートとも“らしさ”を発揮したが、相手GKの好守に阻まれた。

「クロスに入っていくプレーで自分の良さは出せたと思います。でも、それを結果に結びつけなければいけない」

90分間プレーするやりがい。

 試合後の表情は険しかったが、結果とは別に自分自身は、また一歩を踏み出した。加入後初の90分間フル出場。公式戦でのフル出場は広島時代の'17年9月20日、天皇杯4回戦の横浜F・マリノス戦(延長を含めて120分間)以来、約1年6カ月ぶりだった。

「最初のキックオフから試合終了まで、気持ちや体力面も含めて、何を見せていくのか。プレーしながら、あらためて90分間プレーするやりがいを感じていました」

 何度も体の向きを変え、スペースを突いて動き出し、時にサイドに流れてポストワークもこなしながら、得点への道筋を作る。指揮官の信頼を受けて出場時間が伸びることで、懐かしい感覚が、確かによみがえりつつある。

【次ページ】 「FWは、自分で状況を変えることができる」

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