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J2山口・霜田監督の指導法が面白い。
「極端」と「正直」で選手を刺激。

posted2019/03/27 17:00

 
J2山口・霜田監督の指導法が面白い。「極端」と「正直」で選手を刺激。<Number Web> photograph by Atsushi Iio

単独インタビューに答えてくれた霜田正浩監督。レノファ山口での日々は新鮮なようだ。

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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Atsushi Iio

開幕1カ月が経った2019年のJリーグ。各クラブがチーム構築を進めつつ戦うこのタイミングで、今回は日本サッカー協会技術委員長などを経て、現在J2レノファ山口の指揮を執る霜田正浩監督の白熱したインタビュー取材の記事を2回に分けてお送りする。まず前編ではレノファでの日々、そして“ハリルホジッチ的”な指導術などを明かしてくれた。

――昨シーズン、念願だったクラブチームの監督を務め、16勝13分13敗のJ2リーグ8位に終わりました。率直にどんな感想を持っていますか? 想定外のことはありました?

「8位になれたのは出来すぎかな、と思っています。想定外だったことはほとんどないんだけど、唯一想定外だったのは、前半戦であれだけ勝てたこと(笑)。あんなに勝てるとは思っていなかったから」

――夏から秋にかけて14試合未勝利だったことではなく、前半戦に快進撃したことのほうが想定外。

「もちろん、あれだけ勝てなくなるとは思ってなかったけれど(笑)、前半戦で想像以上に順位が上がり、追われる立場になって、上位をキープしなきゃ、というプレッシャーを感じながら戦うことになるとは思ってなかった。でも、こういう練習をしたら、こうなるだろうとか、自分が指揮を執れば、こういう感じで進むだろう、ということに関しては、想像どおりでしたね」

――短期・中期・長期と目標設定があるなかで、もともと1年目はどう位置づけていたんですか?

「うちは予算が潤沢ではないし、地方のハンデもあるから、何かひとつ魅力を作らなきゃいけないと思っていました。クラブの魅力って、例えば、サッカー専用スタジアムがあるとか、練習場やクラブハウスが素晴らしいとか、ビッグスポンサーが付いているとか、ジーコやイニエスタのようなビッグネームを獲得するとか、いろいろあるけど、じゃあ、レノファ山口の場合は何か。

 2017年の秋、(河村孝)社長と(石原正康)GMがベルギーまで来て、僕に監督就任を要請してくれたとき、『スタイルをちゃんと作りましょう』と提案したんです。レノファは面白いサッカーをやっている、あそこに行けばサッカーがうまくなる、だからレノファに行きたい、選手がそう言ってくれるようなチームにしたいね、と」

――それがレノファ山口の魅力だと。

「もちろん、どんなに格好いいことを言っても、J3に落ちてはダメ。でも、よそと同じことをしていたら、良い選手がいるチームから順番に順位が決まっていっちゃう。それに'17年は20位だったから、18チームをごぼう抜きするには、リスクにチャレンジしなきゃいけない。そういう意味で、去年は『レノファはこういうサッカーやるぞ』ということを発信する1年にしたかったんです」

――まさに昨年は「レノファ=攻撃的なサッカー」というイメージを定着させたシーズンでしたね。前半戦の好成績は、そうしたサッカーが思いのほか早く浸透した成果だったと思います。

「そこは本当にラッキーでした。僕はビギナーズラックだと思っているんだけど、前半戦は、やろうとしたことがハマったのは確か。満足できるゲームは多くなかったけど、自分たちの狙いどおりに点が取れた。もともとJ2で最も点が取れるチームにしたいと思っていて、結果として4番目ぐらいだったのかな」

――そうですね。63得点でリーグ4位タイでした。

「でも、失点は下から数えたほうが早くて……」

――64失点で、ワースト4位ですね。

「そうだよね(苦笑)。でも、やっぱりゴールはサッカーにおいて最もエキサイティングで、エンターテインメントな部分だから、ブランディングという点では、うまくいったと思います」

【次ページ】 「極端」じゃないと浸透しない。

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