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計算できる新外国人バッター3条件。
右打ち、ブレーク前、中距離打者。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2019/02/09 17:00

計算できる新外国人バッター3条件。右打ち、ブレーク前、中距離打者。<Number Web> photograph by AFLO

マリナーズ時代にイチローとチームメートだったホセ・ロペス。今やDeNAに欠かせぬ主砲だ。

右打者のレベルが上がった?

 では、なぜ右打者は通用するのか?

 個人的には、そもそも日本に来る右打者のレベルが上がったと考えている。

 いつの時代も、どのリーグでも右打者の方が圧倒的に多い。希少性のある左打者に比べて、右打者の競争率は高い。本来はメジャーで活躍できる能力があっても、さまざまな事情で30歳前後で競争から脱落する右打者が出てくる。そこから優秀な右打者が日本に来るようになった。

 私はそれを「(2)出世前」と呼んでいる。

イチローと同僚だった2人。

 さらに言えば、活躍した彼らはMLBではほとんどが「(3)中距離打者」だった。中距離打者の指標はいくつかあるが、私は「二塁打÷本塁打」の割合が1.5から3.0と定義している。

 以下はここ10年の外国人選手の打率、本塁打各上位3人の、MLBでの実績と日本に来た年齢、※は二塁打÷本塁打の数値である。

<打率>
マートン 272安打29本塁打 打率.286 28歳 ※1.59
ルナ 208安打15本塁打 打率.262 33歳 ※2.73
マギー 721安打67本塁打 打率.258 30歳 ※2.10

<本塁打>
バレンティン 113安打15本塁打.221 26歳 ※2.07
ブランコ 11安打1本塁打.177 28歳 ※3.00
ロペス 1005安打92本塁打.262 29歳 ※2.34

 すべて右打者で、ブランコを除く5人の打者がMLBで100安打以上している。彼らの多くは、昔のメジャー選手名鑑を見れば「有望若手」「活躍が期待される」と紹介されていた。また一時期はレギュラーを取った選手も多く、バレンティンとロペスはイチローのチームメイトとして主軸を打ったこともある。しかし最終的には競争に敗れ、30歳前後でNPBにやってきたのだ。

 NPBではメジャー出身打者は「大型化」する。もともとミートがうまい中距離打者は本塁打が増えて成功するのだ。

 逆に言えば、MLBを経験していないマイナー選手がそのままNPBで通用する時代ではなくなったともいえる。

(1)右打者、(2)出世前、(3)中距離打者という「成功する外国人打者」の根拠は以上だ。

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