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12球団唯一、海外でキャンプイン。
日本ハムがアリゾナに行く理由とは。 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKyodo News

posted2019/02/02 09:00

12球団唯一、海外でキャンプイン。日本ハムがアリゾナに行く理由とは。<Number Web> photograph by Kyodo News

栗山英樹監督就任8シーズン目、北海道日本ハムファイターズの日本一奪還はアリゾナの地から始まる。

宮台も「違った環境は楽しい」。

 アリゾナへ降り立った瞬間、すべてが一新される。オフから世界が変わるのである。見るもの、飛び交う英語も含めて聞くものなど、五感で受ける刺激すべてが激変する。選手にとっては野球をする環境が、一番だろう。

 広大な練習用のグラウンドはもちろん、使用するクラブハウスのロッカーなど、行きかうダイヤモンドバックスのマイナー選手たち(すでにキャンプインしている)……。過去が完全にシャットアウトされるのである。

 初参加の宮台康平投手も「いろいろ、楽しいです。違った環境で野球をするのは」と琴線に触れていた。

ほぼ雨のない気候がメリット。

 野球に、ただひたすら浸る時間を過ごす。選手たちの大半は宿泊先ホテルから大型12人乗りのバンに乗り合って球場入りする。午前6時始発で15分刻みのピストン輸送。約10分で到着すると、思い思いに準備を整えていく。先に朝食を済ませる選手、ウエートトレーニングやストレッチに勤しむ選手。個々で、全体練習の開始時間を逆算してルーティンを消化していく。

 ファイターズは全体練習の時間は比較的、短い。午後からは、ほぼ自主練習の時間になる。朝夕食は日本食が用意され、ランチはダイヤモンドバックスの選手、スタッフらと同様の米国的なメニュー。3食を球場で摂り、丸1日を過ごすような生活を約2週間過ごすのである。

 日本と比べて娯楽はほぼなく、たまに気分転換で外食をし、休日などを利用してNBAやNHLの試合観戦をする程度。野球以外に、気持ちが揺れる環境ではないのである。

 ほぼ雨が降ることはない安定した気候条件の下で、計算通りに調整も行える。大リーガーとして活躍もした木田優夫投手チーフコーチも「一番のメリットは気候」と言い切る。マイナーの選手が主に練習するフィールドを最多で5面使用でき、数人が同時に投球できる広大なブルペンもある。

【次ページ】 心身のメリハリが利いている。

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