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スポーツ業界は“物好き”頼みに終止符を。
並木裕太が考えた経営人材活用法とは? 

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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photograph byGetty Images

posted2019/01/08 07:00

スポーツ業界は“物好き”頼みに終止符を。並木裕太が考えた経営人材活用法とは?<Number Web> photograph by Getty Images

ヒューストン・アストロズのGMジェフ・ルノー。MLB界では、球団経営面でも様々な革命が起こっている。

新たな雇用形態のスキームを提案。

 こうした事態を受けて、並木が代表を務める株式会社フィールドマネージメント(以下FM)は、2018年12月、新たな取り組みを始めた。経営人材の加入とスポーツ産業の発展。このサイクルをとにかく回転させ始めるべく、能力と意欲ある若者をスポーツ企業に送り込む人材活用スキームを構築したのだ。

「STAY TRUE Sign UP」と名付けたWEBメディアを立ち上げ、スポーツ業界に関心を寄せるコンサル経験者などを募っている。

 たとえば、コンサルティングファームで年収800万円を得ている人材が、磨いたビジネススキルをサッカー界で生かしたいと望んだとする。かたやJリーグのあるクラブも、経営のプロフェッショナルに戦力に加わってほしいと考えている。ただ、現状用意できる報酬は年間500万円――。

 両者の間には300万円の差があるわけだが、これをFMが実質的に負担する。形態はさまざまあるというが、たとえばスポーツ志望の人材はまず年収800万円の条件でFMに入社し、その後、クラブに出向。クラブは業務委託費としてFMに年間500万円を支払うスキームが想定されている。

「うちが我慢すればいいのではないかと」

 並木が思いを語る。

「誰かが我慢しなければならないなら、うちが我慢すればいいのではないかと思い至ったんです。

『スポーツの世界で働いてみたいけど、入り方がわからない』『収入の面で不安がある』という若者の背中を押し、受け入れる球団やクラブ、リーグなどで活躍してもらうことで、日本のスポーツがビジネスとして大きく育ってほしい。その一助になれば」

 気になるのはFMにとってのメリットだ。

【次ページ】 日本のプロスポーツ界を変革できるはず。

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ジェフ・ルノー
ヒューストン・アストロズ

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