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日本馬の海外GI、今年は勝利できず。
香港国際の3つの2着に感じた無念。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2018/12/14 17:30

日本馬の海外GI、今年は勝利できず。香港国際の3つの2着に感じた無念。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

JRA年間最多勝記録がかかるルメールだが、この週末は香港での騎乗を選んだ。

ディアドラはよく追い込んだが。

 国際レースの最後、この日のメインレースとして行われたのが芝2000mの香港カップ(GI)。ここにはサングレーザー(牡4歳、栗東・浅見秀一厩舎)、ステファノス(牡7歳、栗東・藤原英昭厩舎)、ディアドラ(牝4歳、栗東・橋田満厩舎)の3頭が出走。JRAは勿論、地元香港のプールでもディアドラとサングレーザーがそれぞれ1、2番人気。4レースの中で最もチャンスのあるレースだと思われた。

 しかし、結果はまたも香港馬の前に涙を呑むことになる。逃げたグロリアスフォーエバーがそのまま最後までハナを譲ることなくゴール。ディアドラはよく追い込んだが、2番手でレースを運んだタイムワープを僅かにかわして2着するにとどまった。3着がタイムワープでサングレーザーは4着。ステファノスは見せ場なく9着に沈んだ。

 勝ったグロリアスフォーエバーはGI初出走での初勝利ということで「展開に恵まれた」という声も囁かれたが、私はそうは思わない。この馬、直前のレースではタイムワープと競り合って6着に敗れていた。

 そのレースはレコードタイムで決着したわけだが、それを誘発したのが逃げたタイムワープに競りかけていったこの馬だったわけだ。

日本調教馬の海外GI、今年はゼロ。

 そんな速い流れで昨年の香港カップの覇者タイムワープはシンガリ9着まで後退する中、グロリアスフォーエバーは一旦先頭に躍り出るとその後、かわされた後も直線半ばまで踏ん張る姿勢を披露。最後は止まったが、それでも6着とタイムワープより良い着順でフィニッシュしていた。

 私はなにも後付けでこう記しているのではなく、予想を公開している新聞紙上ではグロリアスフォーエバーに◎を打っていた。もちろん今回はマイペースに持ち込めたのが大きな勝因ではあるが、日本勢を封じる能力は間違いなくあった馬なのだ。

 かくして今年の香港国際4レースで日本調教馬は勝利することができなかったのだが、それは同時に今年1年、日本調教馬が海外GIを勝てずに終わったという結果でもある。日本馬が強くなったと言われて久しいが、これは残念な結果である。

【次ページ】 遠征も馬の適性が何より大事。

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