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阪神JFでダノンファンタジー戴冠。
兄たちのいぬ間にクリスチャン。

posted2018/12/10 11:30

 
阪神JFでダノンファンタジー戴冠。兄たちのいぬ間にクリスチャン。<Number Web> photograph by Kyodo News

ルメールやミルコが香港参戦のために不在だった阪神JF。制したのはクリスチャンだった。

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Kyodo News

 また外国人騎手だった。そして、ノーザンファーム生産馬による上位独占となった。

 第70回阪神ジュベナイルフィリーズ(12月9日、阪神芝外回り1600m、2歳牝馬GI)を、クリスチャン・デムーロが騎乗した1番人気のダノンファンタジー(父ディープインパクト、栗東・中内田充正厩舎、ノーザンファーム生産)が優勝。

 これで外国人騎手が9週連続でGIを制したことになる。2着は2番人気のクロノジェネシス、3着は4番人気のビーチサンバと、1着から3着までをノーザンファームの生産馬が独占した。

 ダノンファンタジーは、他馬と横並びのスタートを切った。しかし、そのまま出たなりで前につけるのではなく、C・デムーロは内に進路をとりながら手綱を引き、周囲の馬を先に行かせた。

「リラックスして、いい位置でレースをすることができた」とC・デムーロ。彼の言う「いい位置」はいわゆる好位ではなく、後方3、4番手の外目だった。

距離ロスを恐れず大外を選択。

 前走がペースの速い1400mのファンタジーステークスだったためか、やや掛かっているように見えた。後ろに重心をかけて抑えていたC・デムーロは、4コーナーで迷わず外に持ち出し、さらに外から上がってきたクロノジェネシスと馬体を併せて直線へ。

 ダノンファンタジーもクロノジェネシスも4コーナーを大回りしたので、直線に向いたときは18頭中、16、17番手だった。が、そのかわり、前には障害物となる他馬がまったくいないし、馬場もいい。2頭は馬体を併せて大外から猛然と脚を伸ばし、内の馬たちを見る見るかわして行く。

 激しい叩き合いのすえ、ダノンファンタジーがクロノジェネシスを競り落とし、先頭でフィニッシュ。勝ちタイムは1分34秒1。前半800mが47秒0、後半800mが47秒1という平均ペースだった。どの馬も余力があってまっすぐ伸びるため、直線に入っても馬群がバラけず、隙間ができにくい展開になった。

 そんななか、コースロスを恐れず「後方から大外」という、シンプルだが勇気のいる戦術に徹したC・デムーロの手綱さばきが光った。初騎乗でパートナーの能力をフルに引き出したのだから、恐れ入る。

【次ページ】 ノーザンファームはGI今年13勝目。

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