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時には聞き入れない勇気と、欲。
松本慶彦37歳は今もVリーグで一流。 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byBlazers sports club

posted2018/12/12 17:00

時には聞き入れない勇気と、欲。松本慶彦37歳は今もVリーグで一流。<Number Web> photograph by Blazers sports club

Vリーガー16年目のシーズンを戦う37歳の松本。現在も主力として活躍している。

ミドルブロッカーの人材不足。

 各チームも同様だが、特に全日本はミドルブロッカーの人材不足にここ数年は悩まされている。入れ替わり立ち替わり様々な選手を試すものの、なかなか定着しない。

 もちろん今年の世界選手権のように主力のケガも定着しない原因のひとつではあるが、そもそもミドルブロッカーの人材が少ないのも問題だ。

 松本もその件には警鐘を鳴らす。

「近年、特にサイドにも大きい選手を置こうという風潮があって、そちらに取られるというのも理由のひとつだと思います。そして高校生くらいまでは、長身選手に多くのスパイクを打たせるために、打数の少ない真ん中(ミドルブロッカー)に置くより、サイドでやらせようというチームが多い。そこで、ミドルブロッカーがなかなか育たない印象も受けます」

 松本自身、高校生まではサイドアタッカーで、大学でミドルブロッカーに転向した過去を持つ。

「でも、ミドルブロッカーは魅力のあるポジションです。僕はサイドアウト(相手にサーブ権がある状況)でとにかく得点を取ろうと思って、ずっとやってきた。クイックでも、サイドと同じくらい点数が取れるというケースもありますから」

出場試合数は歴代7位。

 現状のV.LEAGUEではオポジットと呼ばれるセッター対角のアタッカーが最も多くの得点を担うチームが多いが、固定観念を捨てれば松本が言うように、ミドルブロッカーの得点力はさらに上がる可能性もある。

「僕自身は、相手ブロックのマークが僕につけばこっちの勝ちだと思っています。今シーズンはチームの方針で、センター線の打数も増えると思うので、ぜひ注目してほしいですね」

 通算373試合に出場し、出場試合記録も歴代7位と現役選手でただ1人、トップ10に顔を見せている。

「まさかここまで長く現役を続けられるとは思っていませんでした。ミドルブロッカーはブロックやクイックにキレがなくなったら目立つので、衰えたことが如実に見えてしまう、ごまかせないポジションです。ここまでやれると思わなかったけれど、同時に、もっと頑張っていかないといけないとは思っていますね」

【次ページ】 クールだけど欲はある。

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松本慶彦
堺ブレイザーズ

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