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トルシエがベトナムの育成世代指導。
沸騰する東南アジアのサッカー熱。 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byShuichi Tamura

posted2018/10/11 07:00

トルシエがベトナムの育成世代指導。沸騰する東南アジアのサッカー熱。<Number Web> photograph by Shuichi Tamura

2017年にオープンしたPVFアカデミーの施設前でのフィリップ・トルシエ。育成特化型の特別な施設で、世界でも最先端の設備が揃う。

「もっと日本人にベトナムでプレーして欲しい」

――そのために日本との協力関係は重要だと思っていますか?

「すでに協力関係はできている。PVFはガンバ大阪とパートナーシップを締結している。Jリーグからもオファーがあり、今年もPVFのチームが日本の大会に参加した。私が関与することで関係はこれからさらに強くなっていくだろう。ベトナム人は日本サッカーに多大な敬意を払っている。日本もまたベトナムサッカーを尊重している。

 ここハノイには、大規模な日本人社会があり、両国の関係は緊密だ。サッカー面でもそれは同じで、私は日本サッカーのレベルと価値をよく知っている。ベトナムにどれだけのものをもたらし得るかもだ。ベトナム人選手が一刻も早くJリーグでプレーして欲しいし、日本人選手が“Vリーグ1(ベトナムのプロサッカーリーグ)”でもっと多くプレーして欲しい。日本人がより多く加わることでリーグのレベルが上がるのは間違いないのだから」

――アジアサッカーのヒエラルキーも変わりつつありますか?

「今の時代、サッカーにおいて小国が大国に追いつくのは、その国内にその意欲と資金があれば比較的簡単だ。カタールやUAE、ウズベキスタン、タイなどがそうで、もちろんベトナムもそのひとつだ。グローバリズムの結果でもあり、情報やインフラ、交流の頻繁化によりサッカーは世界のあらゆる地域で進歩した。

 今日では日本にとって、ベトナム戦は簡単な試合ではなくなった。実際、中国でおこなわれたU-23アジア選手権でベトナムは決勝に進んだし、アジア大会では日本を破った。

 たしかに日本はU-21代表であったのに対し、ベトナムはオーバーエイジを含めたU-23代表だった。その点でベトナムに明らかなアドバンテージがあったが、それでも日本に勝ったことが重要で、8月に中国で行われたゴシアカップでも、PVFの選抜チームは日本のチーム――中央学院高校チームと東京ヴェルディユースに連勝した。それはベトナムの進歩を端的に示しており、アジアサッカーが変わりつつあることの証明でもある」

――よくわかりました。今後がとても楽しみです。メルシー、フィリップ。

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